漁師と言っても捕るのは魚じゃなくて虫なんですよね(笑)
昨年も登場したので読まれた方もいらっしゃると思いますが、私が住んでいるのは全国でもトップクラスの昆虫食文化のある地域なんです。
イナゴ、蜂の子、蚕のさなぎ、そして“ザザムシ”。お土産物として売られてますが、都会の人にはまず喜ばれない(笑)
天竜川の冬の風物詩、ざざ虫漁
そのザザ虫の漁をする許可をとることにしました。
虫を捕るのに許可がいるの?
いるんです。ここ天竜川上流部はおそらく、日本で一番虫がいる川です。いつかだ大学の教授が来てそう言っていたらしいです。
で、その虫をたくさん捕ると佃煮業者で買い取ってくれるんですね。だから、漁として成り立つんです。
そこで、漁協が入漁料をとって許可証を発行しているんです。別に漁協で虫を放流してるわけでもないのに、どうしてお金取るのか謎だけどね(笑)
ただ、石をひっくり返してちまちまと自家消費のために捕るのは問題ないですよ。父親がざざ虫の佃煮が好きなので、私も今まではそうやって捕って佃煮にしてました。
今シーズンは、ちょっと本格的に捕って小遣い稼ぎでもしようかと思ったのです(^_^)
許可をもらうには、まず漁協の組合員にならなければいけません。これがまず問題。
組合員になるには、出資証券(株券)を購入することになります。ただ、現在は新株を発行していないので、個人売買で入手するしかありません。
運良く漁協を脱退したいという人が見つかったので、購入することができましたが、ちょっとボラれました(>_<)
まぁいい。これを持ってると、年会費みたいなもの4,000円を払えば、渓流釣りも、鮎釣りも、投網もできるから、お得と言えばお得。来年は落ち鮎の投網もやってみようかな。
組合員になれば少しは漁協の活動に対して発言権あるかな。言いたいこといろいろあるけど(^_^;)
その後、年間の(と言っても、ざざ虫漁ができるのは12月〜2月限定)入漁料を払えば、やっと本格的なざざ虫漁ができます。
ざざ虫を捕るための道具あれこれ。
早朝の天竜川。気温は氷点下。水の方が温かいので、湯気が立っています。
岸際にはうっすらと氷が張っています。おー寒!
ザザムシを捕るための自作四つ手網。ザザムシ漁を始めるにあたって、私が「ザザムシ師匠」と呼んでいるベテラン漁師の元へ行っていろいろ教えてもらったのです。この網を両手でも持って、川底の石を足でガサガサやると、ザザムシがたくさん網に入るという寸法です。
石底をガサガサやるのには、ウェーダーに鉄製のカンジキを装着します。これも、師匠が使っているのを見本に鉄工所に頼んで作ってもらいました。これがあるのとないのじゃ、全然効率が違います。カンジキだけでは厳しい底の固い場所の場合は、ツルハシやマンノウ鍬を使う場合もあります。
捕った虫は、小砂利やゴミが混じっているので選別器にかけます。荒目、中目、細目の網を三段に重ねたものです。一番上の荒い目の網に大きなゴミはひっかかり、虫だけが下へ降りていきます。そして、中段、下段と虫が降りていくにつれて、ゴミは網に残り、虫だけがタライに入るという仕組みです。簡単な構造ですが、これが威力あるんですよー。ザザムシが石の間を下へ下へと潜っていこうとする習性を利用した実にうまい方法です。さすが先人の考えることはすばらしい(^_^)
ただ網が三段重ねてあるだけでなく、水通しを良くして虫が傷まないような構造にしてあります。昔からザザムシ漁をやっている人たちは、板金屋さんで作ってもらったブリキ製の専用選別器を使っていますが、私はそれを真似て樹脂製のタライで自作しました。
ざざ虫って、どんな虫のこと?
あ、そうそう、肝心の虫の紹介をしなければ。
ザザムシとは、トビケラ、カワゲラ、カゲロウの幼虫の総称です。
写真1枚目、ヒゲナガカワトビケラの幼虫。これがザザムシの主役です。ザザムシと言えば、ほとんどがこの虫のことです。釣り人はクロカワムシと呼んで、釣り餌によく使われる虫です。
写真2枚目、カワゲラの幼虫。これも釣り人には「キンパク」という名前でおなじみ。正確にはもっと細かい分類の名前があると思うけど、ちょっと判別不能です(^_^;) これはある程度混じります。
写真1枚目、釣り人にピンチョロと呼ばれているカゲロウの幼虫。カゲロウも種類はいろいろあります。ピンチョロは天竜川ではほとんど捕れません。
★2018.2.27追記:
ピンチョロとは狭義ではフタオカゲロウのことを言うらしいです。
よく調べたらこちらは、背中にある縦線が特徴のチラカゲロウでした。
写真2枚目、ヘビトンボ。この辺りではマゴタロウ(略してマゴタ)と呼ばれ、これも一緒に佃煮にしちゃいます。この虫は大きいのでなかなかグロテスクな感じがしますね(笑)
佃煮にする虫は以上の4種類です。
ザザムシの佃煮の作り方は、上記昨年の記事を参照して下さいね。まぁ、見たい人はいないと思うけど(^_^;)
写真1枚目はトンボのヤゴです。これもある程度網に入りますが、お帰りいただきます。ヤゴってどうしてあんなに動きが鈍いんだろう?
写真2枚目、これが一番やっかいな虫。ヒラタドロムシ。三葉虫を小っちゃくしたような虫なんだけど、これは場所によっては大量に網に入っちゃうんです。そして、この虫、網やタライにピタッとくっついてなかなか取れないんですよ。選別器の網もかいくぐり、ザザムシに混じっちゃうので後で選別が大変(>_<)
ザザムシ漁をやっている人は、大体70代です。皆さんお元気ですねー。私は新米ですが、そこそこの量が捕れて満足満足。全て師匠のおかげです。
私のザザムシ師匠、御年76歳。1日にザザムシを12kg捕ったという伝説を持つ男! 恐るべし。
ハクセキレイがおこぼれをもらいにやってきます。
川でハクセキレイと友だちになりました。
選別器の網に残った売り物にならない虫をはじいておいたら、ほんの1mくらいの距離まで近づいて来て食べてました。元々ハクセキレイは人懐っこい鳥だけどね。
そのうち、朝行くと、選別器の周りを飛んで「ピツーッ、ピツーッ」と鳴いて虫を催促しているかのように(笑)
いいよいいよ、選別器に乗っている活きの良いヤツ食べちゃいなよ。2、3匹ついばむと一時的にお腹いっぱいになるようで、どこかへ飛んでいき、また1時間後くらいにやってきます。カワイイやつ(^_^)
どーん!大漁!!
持ち込む業者によって、川で捕ったままの状態で良いところもあれば、茹でてほぼ完全にゴミを取り除いた状態で持って行かなければいけないところもあります。これは、茹でてきれいにしたものです。
うまそうでしょ? そうは見えないですね(笑)
来年は渓流で一泊二日の釣りをしたいと思っているので、ザザムシ漁で稼いだお金でちょっといいソロテントを買おうかと皮算用中(^o^)/
★後日追記:
ざざ虫で稼いだお金で無事にソロテントなどを購入し、沢泊釣行に行けました。
その時の様子はこちら。
コメント
こんばんは。
凄い量のクロカワですね。
しかも、キンパクが外道とは、余程の量の川虫が言うんですね。
季節になったら、川虫売りで生活が出来る程で凄いです。
マンボウさんへ
こんばんは。
天竜川のクロカワムシの量は桁違いです。
毎日捕りに行けるお爺さんたちは結構稼ぎますよ。でも、あんまり豊漁だと値崩れをおこしたり、買取ストップになったり、その辺りは魚の量と同じですかね(^_^;)
おはようございます。
ザザムシは同じ信州でもこちらでは馴染みが無いのでちょっとためらいますね、子どもの頃オニチョロの事をザザムシと言っていた記憶があります、そういえば黒くて気味の悪いのを、アカウオ(ウグイ)釣りの餌にして遊んだこともありますね、奈良井川ですが、誰も捕らないだけでいるかもしれませんね。
ハックル70さんへ
こんばんは。
伊那谷ではおなじみのザザムシですが、こちらでもこれを平気で食べれる人は少ないですよ。うちの母親なんかは絶対食べませんし、私の世代でも食べたことがある人の方が少ないと思います(^_^;)
私もクロカワムシでウグイ釣ってました。奈良井川にもいますね。ただ、天竜川の虫の量はたぶん日本一です(^_^)
冷たい中ザザムシ捕りご苦労さんでした
一般では馴染が無い食べ物ですね
好みが合って—私は食べた事有ります、
今度「1月」に某会の旅行で天竜川方面に
出掛けます、道の駅で見てみます、
お馴染み釣りエサの「キンパク」は春に成れば
川に捕りに行きます、少ないと捕るのに苦労してます
専門的な道具が有れば良いですがタモのみです。
おこずかいが出来ますね
その前に権利を取るのも大変ですね、ご苦労さんでした。
釣りお爺さんへ
こんばんは。
今年は今のところ暖冬なので助かります(^_^)
道の駅で珍味としておいてある場所もありますね。目玉が飛び出そうな価格ですが(°0°)
キンパクは釣り餌としては最高ですね。クロカワムシとキンパク、佃煮にするとやはりキンパクの方がうまいです。
おはようございます。
虫採りに許可?と思いましたが、なるほど、文化として定着してるからこそそういう仕組みがあるのでしょうね。
天竜川は静岡にある河口付近と諏訪湖しか訪れたことがないのですが、いつかロッドを振りたい大川のひとつです。これだけ虫が豊富ならきっと魚も多いんでしょうね~。
タキビさんへ
こんばんは。
虫捕りに許可が必要なのは日本でもここだけでしょうね。それだけたくさん捕れるってことだと思います(^_^)
魚はですねー、このところ、諏訪湖から流れ出したブラックバス(スモール)が猛威をふるっていて、在来魚が駆逐されつつあります。
それでも、本流育ちのレインボーや天竜差しと呼ばれる大アマゴをフライやルアーで専門にねらっている釣り人もいますね。
犀川のように本流に成魚放流しているわではないので、一日やっても、基本0か1の釣りになってしまいますが(^_^;)
コレ取るのに許可が必要な地域あるとか初めてしりました(笑)
ちょっと食べ物には見えないですね。
僕は上手ければなんでも行ける口してますが。
Nori1022さんへ
こんばんは。
虫を捕るのになぜ漁協でお金を取るのかイマイチ納得いきませんけどね・・・川底を掘り返すから国土交通省にお金払うならまだわかる。
これが食材に見える方がヤバイです(笑)
見た目気にしないなら、味はイケると思いますよ。と言っても、ご飯のおかずにするようなものじゃなく、酒のアテに最高です!
こんにちわ。
この量は凄いですね。
もっとも小さなタモ網でチマチマとやるのとスケールが違うと思いますけど。キンパクなんて木曽のコンビニでは一箱700円位しますし
羽化しているのもたまにあり(笑)
カロリー的にはクロカワが一番の様な気がします。天竜の魚が育つ訳はここにありますね。
テクニカルゲームさんへ
こんばんは。
天竜川のクロカワムシの量はたぶん日本一です。
インパク、木曽のコンビニで良く見かけますね。確かに高い! あれを売った方が儲かるかな(笑)
クロカワムシは川の水が冷たくなればなるほど、脂がのってる感じになりますね。栄養たっぷりって感じです(^_^)
はじめまして、こんにちは。
ハックル70さんのブログから来ました、七流釣師と申します。
こちら関西では昆虫食文化は皆無ですが、信州方面では道の駅で売ってますね。しかもとても高いです。値段もさることながら、手に取って見ちゃいますが眉間にシワ寄せてると思います;^_^A
マゴタロウまで食べちゃうとはビックリです(笑)
七流釣師さんへ
こんばんは。ご訪問ありがとうございます。
道の駅で見かけたことありますか。価格には目玉飛び出しますよね!
これの佃煮を見て眉間にシワが寄るのは正常反応です。虫捕りをしている自分が言うのもなんですが、これを食材にする方がどうかしてる(笑)
実際に味の話になると(見た目は抜きにしてですよ)、マゴタロウの方が美味いですよ(^_^)
釣り人憧れの漁師への道、組合員になりましたか。
いや、羨ましい(笑)
ボクは食べるのは蜂の子くらいですかね。
しかしそんなに獲れるんだ、一匹二匹だったらともかく大量の川虫がうごめくのを見たら・・・(爆)
いわなたろうさんへ
魚じゃなくて虫の漁師ですけどね(笑)せっかく組合員になったんで、落ち鮎の投網くらいはやってみようかと思っています。
蜂の子やイナゴの方がまだポピュラーですね。
クロカワムシ、今年は特に豊漁のようです。捕った虫はまさに「うごめいている」という表現がピッタリ! 虫嫌いな人が見たら卒倒間違いなし(^_^;) 私はすでに食材にしか見えなくなってます(爆)
おお、凄いですね。
細々と、何年も続いていながら豊漁。
理想的なバランスですね。
ガサ原体験は当時住んでいた長野。また訪れたいものです。
Cervo_SRさんへ
こんばんは。
北海道にお住まいの方が、ザザムシを知っているとは、と思ってました。なるほど、信州に住んでらしたんですね。納得(^_^)
記事には書きませんでしたが、ザザムシの網にワカサギやヨシノボリはたまに入るし、大きなカジカが入ったこともありましたよ。
ガサって何が入るかわからないところがワクワクしますね(^o^)/
????クロカワ、ぴんちょろ、おにちょろ・・・トビケラ、カワゲラ、カゲロウの幼虫???
これって飼っておいて春の渓流釣りの餌にするのですか???
どうも人が食べるような??? t^^; っな訳ないですよね!!!
もしも人が食するのでしたら聞かなかった事にしてください(笑)
捕るときでも割り箸でつまんでますから・・・
幻の渓流師さんへ
こんばんは。
魚の大好物を人間が横取りしてるって話です(笑)
わざわざこんなの食べなくてもいいのにねー(^_^) でも、なんか今世界的に昆虫食ブームになっているとか。