先日、素材によるクッカー(コッヘル)選びについて書きました。
軽くて安価だしサイズや組み合わせが使いやすそうな、snow peak アルミパーソナルクッカー(楽天で見る・アマゾンで見る・ヤフーで見る)を選んだわけですが、実は先日の1泊釣行の二日目にちょっと気になることが。
詳しく検証してからにしようと思ってその時は書きませんでしたが、いろいろテストしてみたので書きます。
アルミクッカーの金属臭(金属味)の予防策
沢泊の二日目のお昼に鍋でラーメンを作って食べた時のこと。
このラーメンですね。これをこの鍋のまま食べたわけですが、麺を口に入れようとした瞬間、あれ?
舌にアルミっぽい味が!?
そりゃアルミなんだからアルミっぽい味するでしょ、って言うかもしれないけど、素麺やご飯では全く感じなかったのに、ラーメンだとかなり強く感じる。
例えるなら、プロセスチーズってアルミ箔で包まれてるでしょ、あれがたまにきれいに取れない時があって、それをうっかり噛んじゃった時のような味(笑)
なんだこれ?
まぁ、食べられないことはないから全部食べたけど、麺を口に運ぶ度に金属味がする。
鍋に口を付けてスープを飲む時の方が感じない。とにかく麺。
自然の中で寝泊まりしたから、味覚が敏感になっちゃったの??
これは検証せねば、と思っていて数日後にテスト開始。
沢泊当日に使ったラーメンは『マルちゃん正麺 醤油味』。あの麺は独自製法で本当に生麺のような食感ですばらしい。もしかしたら、この麺だけなのかもしれない。
そこでわざわざ別のインスタントラーメンを買ってきました。
サッポロ一番塩らーめん。これも昔から結構好きです。これで試します。
アルミクッカーはIHヒーターで使えないので、カセットコンロで調理。
丸形のラーメンじゃないとうまく入らないかな、と思ったけど四角いのも少し斜めに入れてほぐせば問題なく調理できることがわかりました。
当日と同じように魚肉ソーセージを入れて、ミツバの代わりに小ネギを追加。
同じように鍋から食べてみます。
うわっ、やっぱりアルミ味がする〜。気のせいでも、マルちゃん正麺のせいでもなかった。
これは問題だな。
ここでやっとネット検索。
すると、どうも金属臭がするのはアルミのクッカーの宿命らしい。
アルミはイオン化し易いみたい。
『金属臭』ってみんな言ってるけど『金属味』でしょ。あれは確実に舌で感じるから『味』だよ。
ともかく、感じ方には個人差があって全く気にしない人もいるようだし、しばらく煮炊きしているとだんだん薄れてくると言う人も。
なるほど。そういうことか。
なぜインスタントラーメンの麺だけ強烈に感じたんだろう?
ラーメンは3分くらいは煮込むわけだから、その間にアルミイオンが溶出してそれが麺の表面を覆おうような状態になるからかな。
ネット上にはこの金属味をやわらげる方法も書かれていました。
牛乳か米のとぎ汁を沸かすといいんだとか。
でも、実際にやってみてどうだったのか詳しくは書かれていないので自分で試してみることにしました。マユツバっぽい話だけど本当なの?
まず牛乳でやってみます。
本当は大鍋に牛乳をたっぷり入れてそこにクッカーごと浸けて沸騰させた方がいいんだろうけど、大量の牛乳が必要になるのでクッカーに600ccくらいの牛乳を入れて沸騰させて弱火でぐつぐつ煮る方法にします。
煮えこぼれそうになったら火をいったん消してまた点けて、を繰り返し5分くらい煮ました。
やっぱり大鍋に入れる方法じゃないと難しいかも。とにかくなんとか完了。
牛乳は別に飲んでも問題ないだろうから、ちょっとボウルにあけておいて、とりあえずクッカーを水で洗います。こびりついたようになっている部分もあるので軽くスポンジで洗っておきました。
こんなんでほんとにコーティングができたの?
しばらくおいてからラーメンを煮てみることにします。渓流泊の時と同じマルちゃん正麺です。
このところラーメンばかり食べていて飽きてきたので、スーパーでメンマとチャーシューを買ってきて載せてみたりして(笑)
問題は具じゃなくて麺だけど。
一口食べてみる。ん?・・・金属味しない!
おぉー、凄いこれは。
もちろんクッカーに口を付けてスープを飲むと多少感じるけど、この前はそれを感じないくらい麺から強い金属味がしていた。
これは大きく改善されましたよ。
続いて米のとぎ汁。
こちらは大鍋に米のとぎ汁を入れて、そこにクッカーを浸けて沸騰させます。
クッカーの小鍋と二つのフライパン(蓋兼用)を一緒に10分くらいことこと煮ました。
このやり方の方がやりやすいですね。
こっちは全体が冷えるまで置いておいてから、水洗いしました。
小鍋は小さ過ぎて五徳から落ちてしまうので、焼き網を載せた上にセット。
鍋が小さいから麺を二つに折って入れなきゃかと思ったら、すっぽり収まりました。
ラーメンがぴったりスタッキングできるな(^_^)
ただし、この鍋で煮るとなると吹きこぼれに最大限の注意を払いながら煮ないと。
まぁ、できることはできます。
完成の写真撮り忘れたけど、食べてみます。
おぉー、こちらも金属味がしません。牛乳と同様に効果があります。
なんでも表面に酸化皮膜ができるんだとか。
牛乳や米のとぎ汁の他に野菜くずなんかを煮ても良いらしい。
「いろんなものを煮炊きしているとだんだん金属臭が薄れてくる」てのが裏付けられた感じですね。
この怪しいコーティングがいつまで持つのかわかりませんが、しばらくこれで様子をみることにします。ラーメン食べ過ぎてお腹の調子が悪い(苦笑)
私が使っているsnow peak のアルミパーソナルクッカーは、特に表面処理がされていないように見えるけどカタログには「アルマイト加工」の表記が。まぁ、ほとんどのアルミ製品はアルマイト加工がされてるってことなんじゃないの、たぶん。
他メーカーからはさらに表面処理がされたものが出ていますね。
◎アルマイト加工
硬く丈夫に、耐蝕性、耐摩耗性を向上させることができる。
ハードアノダイズド加工もその中の一つ。
◎ノンスティック加工
クッカー内側表面に施した焦げ付き防止のための加工。
フッ素樹脂加工とセラミック加工が代表的。
セラミックの方が耐熱・耐久性能が高い。フッ素樹脂加工は260℃以上になると有毒ガスを発生するそうです。まぁ、そんなに高温で使わないのかもしれませんが。
テフロン加工というのは、フッ素樹脂加工の中の商品名の一つ。
これらの加工の欠点は、丁寧に扱わないとコーティングがはがれてくるというところです。
家庭で使っているフライパンや炊飯器なんかも丁寧に使っていてもはがれてくることありますよね。その辺りが購入時にひっかかって私はシンプルなアルミタイプにしたんですよね。
でも今回の『金属味』の一件で、コーティングされたアルミタイプが一番無難なのかもと思いました。
私は大小二つの鍋とフライパンのセットが欲しい。となると、
■モンベル アルパインクッカー 14+16パンセット(モンベルショップで見る)。
この辺り。でもこちらは外側も内側もハードアノダイズド加工なので、内側の焦げ付き防止効果はあまり期待できない。
焦げ付き防止効果に期待するなら、
■イワタニプリムス イージークックNS・ソロセットM(楽天で見る・アマゾンで見る・ヤフーで見る)。
ただこちらにはフライパンがセットになっていないので、別メーカーでサイズの合うフッ素樹脂加工のフライパンを探してセットにすれば良いかも。
★上記2つのクッカーを使っている方がいたら教えて欲しいことがあります。
インスタントラーメンを鍋で煮て、そのまま食べても金属味がしませんか?
おそらくフッ素加工の方は金属味はしないと思いますが、内側ハードアノダイズド加工のモンベル製品がどうなのか、そこが気になります。
料理をしようと思うと、大小二つの鍋にフライパン。
このセットが一番使いやすいと思うんだけど、このセットでフッ素樹脂加工になっているアルミのやつをどうして各メーカー出さないんだろう?
ステンレスも多少金属味はするけど、その点チタンはイオン化しにくいので金属味の心配はないようですね。チタンは軽量の他にもう一つ長所があったということです。
前回「チタンは熱伝導率が低いから、弱火の苦手なガソリンストーブで使えば弱火になってちょうど良いかも」なんて書きましたが、それはどうも間違いのようです。
熱伝導率が低いということは、火の当たっている部分だけだ熱くなって他の部分に熱が広がっていかないので、米を炊く時やフライパンで目玉焼きなんていうのはかなり焦げ付き易いそうです。ラーメンや汁物なんかだと問題はないですけどね。
その点を改善した製品がEPIから出ていますね。これも注目。
■EPI ATSチタンクッカーTYPE-3SET(楽天で見る・アマゾンで見る・ヤフーで見る)
こちらはチタンクッカーの底にアルミの粒子を吹き付けて(ATS加工)、チタンの熱伝導率の低さを解消した製品。実にすばらしい。
のですが、ひとつだけ残念な点が。
それは、このATS加工、深鍋二つにしかしていないんですよ。
蓋兼フライパンの方には加工されていません。
焦げ付き問題は、(1)米を炊くとき。(2)炒め物や焼き物をするとき。この二つなんですよね。
だから、フライパンに加工されてなくちゃ困りますよ。惜しい、実に惜しい。
私が欲しいのは、今持っているsnow peakのアルミセットに外側ハードアノダイズド加工で内側フッ素加工されたもの、もしくはEPIのチタンクッカーTYPE-3SET4点全てにATS加工がされたものってことになりますね。
他のメーカーでもいいけどそういう製品出してくれないかな。使い勝手を考えるとそういう製品が売れると思いますよ。
でも、多くのアウトドア派はお湯が沸かせればOKっていうスタンスかもしれませんね(笑)
もう一度金属味の件も含めて特徴の一覧表を載せておきます。
強度 | 重量 | 価格 | 熱伝導性 | 調理 | 金属味 | |
アルミ |
弱い | 標準 | 安価 | 良い | 焦げにくい | 気になる |
ステンレス |
強い | 重い | 標準 | 悪い | 焦げやすい | やや感じる |
チタン |
強い | 軽い | 高価 | 悪い | 焦げやすい | 全くしない |
前回と今回書いたことをまとめると、結局用途によって使い分けるというのが正解のようです。
(1)単にお湯を沸かす…どの素材でもOK。ただしアルミは表面無加工だとちょっと金属味が気になるかも。
(2)カレーや豚汁などの汁物…これもどれでも問題なし。
(3)ご飯を炊く…アルミが一番うまく炊ける。続いてステンレス。チタン(ATS加工除く)は一番難しいが、弱火が維持できるガスタイプなら慣れれば炊ける。
(4)目玉焼きとか炒め物…アルミが焦げ付きにくい。ステンレス、チタン(ATS加工除く)は焦げ付き易い。
★調理のしやすさとは別に、チタンは強度があるのに驚異的な軽さが魅力。熱伝導率が低いので燃費は悪いですが、冷めにくいのでマグカップの素材としては最適。
★ステンレスはオートキャンプなどで重さを気にしない使用状況では丈夫で安価なのでいいですね。
それぞれの特性を理解して、うまくスタッキングできるサイズのものを探して、別素材を組み合わせるってのが現状では一番良さそうです。
★後日追記1:
いろいろ調べてみたら既存のクッカーに後処理でフッ素樹脂加工をしてくれる業者さんがあることがわかりました。1,200円/1面〜と価格もお手頃。
以下2つの注意点が書かれています。
(1)アルミの場合は、焼き鈍しによりクッカーがやわらかくなる。
(2)チタンの場合は、フッ素樹脂加工をしても熱伝導率が改善されるわけではない。
それでも、自分の持っているクッカーに焦げ付きにくい加工ができるのは魅力的ですね。
★後日追記2:
アルミパーソナルクッカーの蓋兼フライパンが焼そばなんかを作るのには小さすぎるしやはり焦げ付きやすいので、ユニフレームの山フライパンを追加購入しました。このフライパン、使えます!
詳しくはこちら。
★後日追記3:
上記金属臭予防法は確かに効果がありますが、数回使用するとまたアルミ味が気になり出します。個人差があって全く気にしない人もいると思いますが、私は料理の味を重視しているのでかなり気になります。
クッカーの素材は熱伝導率の他に比熱や比重も重要だとわかり、他のクッカーも試してみたくなっているところです。詳しくはこちら。
★2017.3.1追記:
ハードアノダイズド加工されたアルミクッカーをテストして、金属臭問題は決着しました。
詳しくはこちらをご覧下さい。
コメント
いやはやいつも脱帽ばかりしていますが、探究心が素晴らしいですね。
有料コンテンツとか、アウトドア雑誌の連載レベルだと思います。
高校の学食カレーが金属味だったので避けたいです(笑)。
今後買うかもしれない時に大いに参考にさせていただきます♪
Cervo SRさん、こんばんは。
ありがとうございます。雑誌の連載だとメーカーとのしがらみがあってあんまり自由には書けないかもしれませんね(笑)
カレーが金属味っていうのはかなりなものですね。
参考になればうれしく思います(^_^)
いやまさしくBE-PALばりの、「徹底クッカー比較特集」ですね。^^
お察しの通り、ボクのテフロン加工のクッカーでは感じたことはないです。(実は鈍いだけ?)
昔キャプテンスタッグのツーリングドームを買った「おまけ」で付いてきたアルミ(テフロンなし)の時は、確かに最初はアルミ味だったけど知らない内に気にならなくなってたなぁ。
ボク自身は大小2種類の鍋はテフロン加工アルミ、やかんとフライパンはごく普通のホームセンターで購入した小さな家庭用のものを使ってます。
kuniさん、こんばんは。
情報ありがとうございます。やはりテフロン加工だとアルミ味しないですよね。
フッ素加工なしのものでも、使っているうちにアルミ味は軽減されるのかもしれないですね。もう少し使い続けて様子をみてみます。
やはり、同じメーカーで揃えようと思わないで、他のものと組み合わせるのが理想的でしょうか(^_^)
私めは綺麗なところの鮎の朝マズメ夕マズメの味の違い分かったりするのでアルミの味したら悶絶かもしれませぬ(笑)
Nori1022さん、こんばんは。
朝まずめと夕まずめの鮎の味の違い!?それはスゴイ!!
そんなNoriさんにオススメなのは間違いなくチタンです。これなら金属味はしません。
でも、その焦げ付きやすさに悶絶する可能性はあります(笑)
アルミの金属味って抑えられるんですね!初めて知りました。
全体的に、熱伝導率と焦げ付きが問題になってきますね。
焦げ付きという面では、鉄のフライパンがいいそうです。1ヶ月も使えば、ごく少量の油をしくだけで、ほとんど焦げ付かないそうです。
重いというところがネックですが(^_^;)
akiさん、こんばんは。
フッ素加工されているものはそれほど感じないと思いますが、今回自分でやってみて割と簡単に結構抑えられるものだとわかりました。
今流行のスキレットという分厚いフライパン。あれ欲しいんですが、とんでもない重さなんですよね(笑)
オートキャンプには鉄製のフライパンとかダッチオーブンとかいいですよね(^_^)
こんにちわ。
これは悩めるところですね。
知り合いの沢屋は中学の登山で使った飯盒と
EU脱退した国のビリー缶『今ではおそらく手に入らない』をテフロン加工して
使っているみたいです。
使用後にタワシや金属物で洗いますと瞬く間にテフロンが削れてきますので
注意が必要です。10万もする炊飯器を金タワシでゴシゴシ洗い機能ゼロなんてのも聞きますよ。
山深い川でアルマイトの味も良いかも?
テクニカルゲームさん、こんばんは。
お久しぶりです。お父さんの具合はいかがでしょうか。
ビリー缶って聞いたことあります。
自分でテフロン加工をしたということですか!?そんなことできるんですね。
そうなんですよね、テフロン加工ははがれてくるのが問題なんですよね。
今回の処理でだいぶ軽減されたので、もうしばらく使って様子をみてみます(^_^)