長野県には海がないので、昔から川魚はよく食べられていたんですよね。
イワナやアマゴ、ヤマメ(長野県では太平洋に注ぐ川にはアマゴ、日本海に注ぐ川にはヤマメが棲んでいます)、鮎やウグイ、地域によってはカジカなんかも食べられていますね。
その中で、長野県の郷土食と言えるのが鯉です。
食べ方としては、鯉コク、洗い、そして、うま煮ですね。
鯉のうま煮は、冠婚葬祭には欠かせない料理でしたが、私の地域では最近はあんまり食べなくなったような気がします。
長野県内でも鯉の養殖を盛んにやっている佐久地域のものは有名ですね。
母親が以前に「たまには鯉も食べたいね」と言っていたのを思い出し、スーパーに並んでいたので、うま煮を作ってみることにしました。
やっとウグイ料理から解放されたと思ったら、また鯉科の魚を料理するのね(笑)
鯉って長野県外だと食べたことない人の方が多いかもしれないなー、と思っていたら茨城県、福島県、宮崎県、福岡県辺りでも盛んに養殖が行われているそうです。
知らなかったですー。
鯉のうま煮
- 鯉の筒切り…1尾分(900g)
- 水…200cc
- 醤油…180cc
- 酒…100cc
- 砂糖…25g
- 生姜…20g(お好みで)
鯉一尾分(40cmくらいのやつかな)の切り身。こんな感じでパック詰めされて売られています。スーパーにもよりますが、いつでもおいてあるわけじゃなくて、お祭りのある時期とか冬には良く見かけます。
昔は鱗が付いたまま筒切りにされてたけど、最近は鱗を取ってから売られている模様。皮の部分が食べやすくてそれもいいかも。
鯉を食べるってやっぱり珍しいのかな。
これいくらで売ってたのか記憶が定かじゃなかったので、ちょっと検索していたら見つけたブログで、長野県にやってきた県外の人がこの切り身を見て、
「鮮魚コーナーには鯉の切り身なんてのもあった。
しかも、内臓はそのまま詰まってた。ちょっとグロかったなぁ~。
長野の人は、このまま調理して食べるのかなぁ?」
と書いていた。
うーん、県外の人が見るとやっぱりそんな感じなのか。
それで、ざざ虫も食べるなんて言ったら、もう完全に野蛮人扱いだな(笑)
これ、雑にブツ切りにしてそのまま食べようってわけじゃないんですよ。
この内臓が最高にうまいんですよ。
これ1パックで1,600円くらいだったかな、確か。
切り身をうま煮にしたものも売ってますが、そちらは一切れ600円ほどとなかなか高いです。
内臓ごとことこと煮込むだけ。
そんなわけで、鯉は内臓ごと筒切りにします。
さっきも書きましたが、鯉は身もうまいですが、なんと言っても内臓。これがうまいのだ。
大きめの鍋にお湯を沸かし、軽く洗った鯉の筒切りを並べます。
浮いてきたアクを取りながら、一度茹でこぼします。
鯉を一度取りだし、鍋をきれいに洗います。この段階では崩れやすいので、木べらを使って慎重に扱います。
鍋に水200cc、醤油180cc、酒100cc、砂糖220gを入れて、薄くスライスした生姜を鯉の上に並べます。生姜はお好みで。入れなくても良いです。
落としぶたをして煮汁が落としぶたまで上がるくらいの弱火で煮詰めます。
ある程度煮詰めたら、火を止めて一晩おき、翌日もう一度煮詰めます。
煮汁が少なくなったら、煮汁を掛けながら煮詰めます。
これでもう一度冷ませば味がしっかり染み込みます。
できましたー!
冷めると煮汁は煮こごりのようになります。
生姜のスライスも添えて。
鯉は温め直したりせず、このまま食べた方がうまいです。
鯉の身質はピンクがかった白身で、海の白身魚よりしっかりしています。
これに味が染み込むとほんとにうまいです。腹身には脂も乗っています。
そして、内臓がうまいんです!
これを食べたことがない人にはぜひ、食べていただきたい。
間違いなく「うまい!」と言ってもらえるはずです。
鯉のうま煮の注意点。
抜群にうまい鯉のうま煮ですが、鯉には細かくて枝分かれした鋭い小骨がたくさんあるので、身を食べる時は要注意です。
小さいお子さんやお年寄りには食べさせない方が良いと、昔からよく言います。
お年寄りの中には内臓だけ食べる人もいるほど、とにかく内臓がうまいです。
特に頭に近い方には肝臓があるので、それが抜群。
あん肝やカワハギの肝を食べたことがある人なら、魚の肝臓のうまさはご存じですよね。
だから、一尾の鯉でも頭の方の切り身の方がアタリで尻尾の方はハズレです(笑)
内臓を食べられる魚、食べられない魚。
内臓を食べる魚って少ないですよね。
タラみたいに胃袋を開いて中身をきれいにあらって、チャンジャにするのは別だけど。
そう言えば、同じように以前アマゴで作ってみましたね。
内臓を取り出さずにそのまま焼いたり煮たりして食べる魚と言えば、まず思い浮かぶのはサンマ。
サンマは、胃が存在しないらしいです。食べたプランクトンは30分程度で排出されるので内蔵にエサが残っていることがなく内蔵も食べることができるのです。
鮎の成魚は苔しか食べてないので、塩焼きの内臓も食べますね。その他、小イワシや小アジ、ワカサギなどの小さい魚も内臓を取り出さずそのまま揚げたりしますね。
煮物となると、カレイやニシンなど『子持ち』の魚も胃に餌が入っていないのでそのまま煮て食べますね。
あとは、マグロの胃袋とか心臓とかを料理にしているお店もあるようだけど。
胃を開いて中身を取り出さずに食べられる魚は、つまり胃袋に餌が入っていないということです。
なぜ鯉は胃袋に餌が入っていないのか。
養殖の鯉は、出荷前数日餌を与えなければいいんですが、じゃぁ、自分で釣った鯉は?
昔はうちの辺りでは自宅に池がある家が多く、鯉を飼ってましたね。田んぼに小鯉を放しておいて秋に大きくなった鯉を捕って食べるなんてこともしてました。
ともかく、買った鯉じゃない場合は池に放して数日餌を与えないようにするんです。
「泥を吐かせる」とよく言ってましたが、胃の中身を排出させて空っぽにするってことですね。
そういうことなら、他の魚でも胃の中を空っぽにできるんじゃないの?
と思うかもしれませんが、他の魚は釣ったあと生かしてもってくるのはかなり大変です。
鯉ってなぜか水から出してもずっと生きてますよね。あれ、どういう仕組みなんですかね。
鯉を濡れたタオルや新聞紙に包んで持ち帰るなんて話を聞いたこともあります。
とにかく鯉は生命力が強いです。
うちに持って帰って数日池に放しておけば、胃の中は空っぽになるってわけです。
これが、イワナやアマゴになると生きた状態で持ち帰るのはかなり難しい。
以前に大雨の後釣ったイワナをさばいたら、胃の中に小石がたくさん入ってました。
イワナは大水になると、意図的に小石を飲み込んで流されないようにすると聞いたことがあります。
コイヘルペスって騒がれたよね。
コイヘルペスウイルス病はコイ特有の病気で、コイ(マゴイ及びニシキゴイ)以外の魚や人には感染しません。また、感染したコイを食べても人体には影響はないそうです。
とは言え、病気の鯉は食べたくないですね。
食べるならやはり冬の鯉がうまい。
自分で釣ってそれをうま煮にしたら最高だろうけど、冬の鯉釣りはかなり難しい。
鯉釣りは「一日一寸」と言われます。一尺(30cm)の鯉を釣るには10日川に通わなきゃいけないということになります。
冬はあんまり餌を食べないから、さらに釣るのは難しくなります。
そうなると、オッチャンがやっていたあの釣法か。
コメント
スーパーで鯉が売られているんですね。
地域が違うと食も違っていて興味深いですね。
僕が淡水魚でいけると思ったのはナマズかな。
Nori1022さん、こんばんは。
スーパーで鯉を売っているなんて珍しいですよね、きっと。
でも、ざざ虫ほどのインパクトはないですよね(笑)
ナマズは私も釣ったやつをから揚げにして食べたことがあります。さすがに良いもん食ってるだけあってうまかったです。
次は蒲焼きにして食べてみたいです(^_^)
鯉のうま煮は美味しいですね
私も頂いた事が有ります
不思議と内臓が気に成らないのは
何故か—-美味しいからでしょう
鯉の洗いも美味しいです氷の上に並べて〆
フグの刺身に似た感覚は美味しいですね
恵那峡の観光店で今も食べさせてくれます
今度マスののうま煮でもチャレンジしてみます。
釣りお爺さん、こんばんは。
鯉のうま煮、召し上がったことがありましたか。うまいですよね。
私も洗いも好きです。あのコリコリした食感の身に辛子酢味噌を付けると最高ですね。恵那峡で食べられるんですね。
鱒のうま煮というのは斬新かもしれません(^_^)
おはようございます。
鯉も美味しいと思いますよ。
尾張では何といっても「鯉のアライ」ですね。
酢味噌で食べるそのサラッとした食感も好きです。
そして、鯉と言えば何といっても「鯉の丸揚げ甘酢アンカケ」。
最近は中華料理屋さんでも出さない店が多くなってしまい、残念です。
そんな鯉好きですが、鯉の(内臓)うま煮は食べた事がありません。
今度、試してみたいです。
マンボウさん、こんばんは。
尾張でも鯉を食べますか。洗いは私も大好きです。ウグイでも作りましたが(笑)
「鯉の丸揚げ甘酢あんかけ」はテレビで見たことがあるだけで、実物は食べたことも見たこともありません。どこかで一度は食べてみたいです。
うま煮は本当にうまいので、ぜひ試していただきたいです。ほんとに内臓がうまいんですよ(^_^)
おはようございます。
お祭りと言えば鯉が付き物でしたね、1キロ位の鯉がおいしいと言われたものです、一時鯉に(恋では無いです)に凝っていた時期がありましたが、釣ってきても泥を吐かせる池が無いのでやめました。
ハックル70さん、こんばんは。
お祭りには鯉が欠かせなかったですよね。私が子どもの頃は、地元のお祭りには親戚がたくさんやってきて賑やかでしたが、いつしか実家ではお祭りだといって親戚を呼んだりしなくなりました。
恋に凝っていた時期もあったんじゃないですか(笑)
鯉釣りは楽しいですが、調理するとなると結構大変なんですよね。
ボクのホームリバーに行く道中に、鯉料理のお店があるのを知っています。
行ったことはないのですけどね。
鯉は10年ほど前にハマッて、1年ほど近所の川に通い詰めた時期があって、早番勤務の後とか遅番勤務前とかにフライロッド振って、年間延べ150尾くらい釣りました。
あまりに通い過ぎたからか、鯉がスレ過ぎちゃって、いつしかブームは去りましたが。(笑)
あの川の汚れ具合を見ると、さすがに食べる気にはなれなかったなぁ。
kuniさん、こんばんは。
鯉料理のお店があるくらいなら、そちらでも鯉を食べるのはそれほど珍しくないんですね。
鯉をフライで釣るのっておもしろそうですね。よく鯉を食パンで釣るという話は聞くので、食パンフライなんでしょうか(笑) エッグフライのようなふわふわした感じのものかなー。
鯉に限らず、なるべくきれいな水に棲んでいる魚を食べたいですね(^_^)
コイは内臓が美味しいとは知りませんでした。長野のスーパーでは普通に売ってますが、なかなかの高値ですね。しかし見慣れないと、あの血だらけの身は引きます^^;
こちら大阪ではコイを食べる習慣はありませんが、一部マニアはゲームフィッシュとして楽しんでますよ。市内のビルの谷間の運河でデカイのを掛けてるのを信号待ちの車から見たことがあります。食パンを模したルアーまであるそうな。
七流釣師さん、こんばんは。
鯉のうま煮は身もうまいですが、なんと言っても内臓です。ぜひ、一度食べていただきたい。
やっぱり、スーパーにならぶ筒切りになった鯉はキツイですかね(笑)
そちらでも鯉を釣る人たちがいるんですね。ビルの谷間の運河で釣れるんですか。ちょっと情緒に欠けますが、おもしろそうですね。
食パンルアー!? そんなのがあるとは(^_^;)
鯉は江戸川沿いに多くの店が並んでいますので食べたことはありますね。
とても美味しいです。
新潟に居たときはみなさん庭のいけすに飼っていましたね。
残念なのは作ったことが無いのです。^^;
流石に想像がつかないしまったく自信が有りません。(笑)
幻の渓流師さん、こんばんは。
「江戸川」と聞くと、鯉、鮒、どじょうってイメージが湧きますね。
召し上がったことありますか。鯉、うまいですよね!
新潟も鯉の産地ですよね。あちらは錦鯉が有名なのかな。
鯉のうま煮は、鯉が手に入ればあとは醤油&砂糖ベースで煮詰めるだけですので、簡単ですが、作る人によって味は少しずつ違うと思います(^_^)
茨城県の霞ケ浦や隣の北浦近辺、また、利根川下流域などでは昔から鯉を食べる人は多いです。特に鯉のうま煮に付いている卵がとっても美味しいと思います。卵なら骨を気にせず食べられるので子供やお年寄りにも喜ばれると思います。
また、鯉を専門に扱う業者もあるほどで、お店によって「うま煮」の味が違うので近くに来た時には是非食べ比べでもしてみてください。
きゅー太郎さん、初めまして。
コメントありがとうございます!
霞ヶ浦、北浦、利根川下流域ですか。確かに水郷と呼ばれる地域も鯉や鮒がたくさんいそうですね。鯉を食べる習慣もあるんですね。そちらの鯉はきっと大きいでしょうねー。
こちらでも卵を含め内臓は子どもやお年寄りに人気です。身は細かくて鋭い骨がたくさんあるので、気を付けないとですよね。
教えていただいてありがとうございます。そちらへ伺う機会があれば、何店か立ち寄って食べてみたいです(^_^)