テンカラ釣りと一口に言ってもいろんな釣り方があるんですよね。
日本各地で伝承されてきた毛鉤釣り、地域によっても違うし、同じ地域でも人によって使う毛鉤や釣り方が全く違うなんてこともあるんですよね。
渓流シーズン中は、本を読んでいる時間があるなら、毛鉤を巻いたり釣りに行ったりしたくなりますが、禁漁中は本を読んでいろいろ想像するのも楽しいです。
冬には釣りの本を読もう|テンカラ読本
比較的新しい本二冊と、昭和52年(1977年)頃の本二冊。
古い方は実に今から40年前の本ってことになりますね!
昭和52年頃にはレベルラインの釣りなんてなかったから、撚り糸のテーパーラインの時代です。馬のしっぽの毛を使った馬素(バス)についても記載があり、驚くことに当時馬素を使った既製品はあったけれど、ナイロンの撚り糸テーパーの既製品はなかったということ〔かげろうの釣りより〕
フライフィッシングとの違いについても書かれているので、昭和52年(1977年)頃にはすでに日本でもフライフィッシングがそこそこ広まっていたのかな。
新しい方の二冊は、今主流となりつつあるレベルラインテンカラの本です。
フライフィッシングの本はそれほど読んでいないのに、なぜかテンカラの本はいろいろ読みたくなるんですよね。
フライフィッシングはおよそ共通した基本というものが確立されてますが、テンカラは本当に十人十色で毛鉤についても釣り方についても謎が多いんですよね。だからいろんな人の本を読んでみたくなります。
テンカラ釣りがある日突然上手くなる(楽天で見る・アマゾンで見る)
片山悦二 著 2013年5月初版 釣り人社刊
この本は、基本から順を追って説明しているという感じではなくて、レベルラインテンカラで魚を釣るのに重要なポイントやコツを解説している本です。ポイントの見極め方、毛鉤の流し方などの部分はとてもわかりやすいです。
この本は昨年の春頃に読んで、実釣でかなり生かせる部分がありました。
テンカラ釣りを始めてみたけどあんまり釣れない、というような人にお勧めの本です。
超明快レベルラインテンカラ(楽天で見る・アマゾンで見る)
石垣尚男 著 2011年3月初版 釣り人社刊
こちらは、メールいただいて少しやり取りさせていただいた石垣さんの本。
本業は大学の教授なので、テンカラを科学的に分析してわかりやすく説明されています。
竿の振り方、毛鉤の打ち方については特に勉強になります。
レベルラインのテンカラ釣りを1から始める人にお勧めの本です。
テンカラ釣りはどんな毛鉤でも釣れる?
以上お二方、共通しているのは毛鉤は一種類しか使わないということ。
反応が悪いときはサイズを小さくすることはあるけど、基本的に一種類の毛鉤しか使わない。
テンカラはポイントをテンポ良く探っていく効率の釣りなので、仮に一つのポイントで釣れなくても粘らずに次のポイントを狙う。だから毛鉤は何種類もいらない。
「毛鉤としての基本性能さえ有していれば、どんな毛鉤でも釣れる」毛鉤名人と言われるような人は口を揃えてそう言いますね。
毛鉤がだめなんじゃないかと悩んだり、あれやこれやと結び直すくらいなら、一つの毛鉤を信じて流すことに集中して次々とポイントを攻めた方が、結果的に釣果に繋がるということだと思います。
石垣さんは、毛鉤の色も魚を釣る上では全く関係ないと、言い切っています。魚はコントラストしか認知しないのではないかと。
もちろん、釣れる釣れないとは別に、いろんな毛鉤を巻くことの楽しさを否定はしていませんよ。
フライフィッシングでいろんなフライを使うことに意味はないの?
じゃあ、フライフィッシングも一つのフライだけで釣れるんじゃないの?って思いますよね。
確かにフライでも、テンカラのように次々と新たなポイントを釣っていくなら一つのフライだけで数を釣ることが可能です。実際私も、アダムスパラシュートかエルクヘアカディスがあれば、渓流の釣り上りではある程度釣ることができます。
でも、フライフィッシングの場合、広いプールでライズしている魚をなんとか釣ろうというような楽しみ方もあります。そんな時には、フライの種類が物を言います。
エルクヘアカディスに見向きもしなかった魚が、CDCダンに替えた途端にバシャっと出るというようなことを何度も体験しています。
一つのフライを見切った魚(スレた魚)を、別のフライで釣ることも可能だということです。
テンカラでも、一箇所で粘る釣りをするなら、毛鉤の種類があったほうが有利でしょう。
毛バリ釣りの楽しみ方(楽天で見る・アマゾンで見る)
桑原玄辰 著 1978年7月初版 廣済堂出版刊
サブタイトルが「ヤマメ・イワナのテンカラ釣り入門」となっているだけあって、渓流魚の生態から竿や仕掛け、毛鉤の巻き方、そしてポイントを読んで毛鉤をどう流すかまで、詳しく書かれていて、当時テンカラを始めようと思っていた人にとっては最適な一冊だったと思われます。
桑原さんは本業が画家なので、自身が描かれたイラストもふんだんに使われていてテーパーラインのテンカラ釣りの基本がとても良くわかります。
今でもオーナーばりから「桑原テンカラ」という名の鉤が売られているくらいなので、テンカラ界のレジェンドですね。
かげろうの釣り(楽天で見る・アマゾンで見る)
加藤須賀雄 著 1977年3月初版 釣り人社刊
この本は、釣りキチ三平を読んでテンカラ釣りに興味を持ち、ずっと前に古本屋さんで買ってきて読んだ本です。今回、読み返してみました。
前半は、渓流魚を主人公にした物語や加藤さんが出会った毛鉤にまつわる話など、読み物としてとてもおもしろいです。
後半は道具や仕掛け、釣り方について詳しく書かれていて、これが今読んでもかなりためになります。撚り糸テーパーラインの作り方も書かれているので、今度自作してみようと思います。
西洋のフライと日本の毛鉤の違いとは。
フライはナチュラルドリフトでしっかりと魚に見せるので「形態模写」、テンカラ毛鉤は流れに揉まれたり動かしたりした時に虫に見える「動態模写」だというようなことが書かれています。
もちろんフライの世界にもファンシーフライやアトラクターと呼ばれるフライはあるし、テンカラで写実的なドライフライを使って釣ることも可能ですが、「動かした時に虫に見える」というのがこれからの私のテンカラ毛鉤巻きで重要なキーワードになりそうです。
この本を読んでからずっとテンカラ釣りというものをいつかはやってみたいと思っていながら、一時環境的に釣りから離れていたこともあり、なかなか実現できませんでした。
それから、管釣りルアーから渓流ルアー、フライフィッシングを経て、ようやくテンカラ竿を振ることができました。
この本の最後に「剰(あま)して釣れ」という言葉が紹介されています。
囲碁の世界に「剰して打つ」という言葉があって「常に全力を出すのではなく余力を残しておけ」というような意味らしい。私もそんな気持ちで川に立ちたいですね。
「かげろうの釣り」というタイトルも好きです。
これからもワクワクするような釣りをしたい!
そして、私を釣りそのものに引き込んだ漫画「釣りキチ三平」。
KCスペシャル釣りキチ三平 第6集ヤマメ釣り編(アマゾンで見る)
矢口高雄著 1985年10月初版 講談社刊
これは、単行本で出ていたものをKCスペシャルとして釣りのジャンル毎に再編集して出版したものです。私はこのシリーズで全巻持っています。
私が最初にテンカラ釣りに興味を持つきっかけとなった釣りキチ三平の「毛バリの神サマ」の巻。今読み返してもほんとにワクワクします。
この中に「石化け」というのが出てきます。
三平の実力を見て本気を出した毛ばり名人が繰り出した技。木や石と同化して自分の気配を消すという秘技。
これって、本当に渓流釣りの極意だと思うんですよね。
集中力を高めた状態で殺気を消し去り自然と同化する、そんな術を身につけたい。
そして、釣りキチ三平で描かれているようなワクワクする釣りを、これからも追いかけたい。
コメント
こんばんは。
自分は釣りの本も雑誌もほぼ持っていませんが、唯一持っているのが“毛バリ釣りの楽しみ方”です。
ハックルさんの記事で紹介されているのを見て、アマゾンの中古本を昨年買った物です。
テンカラはやらないものの、魚の生態の話など読み進めていくとフムフム/サモアリナンで面白いです。
マンボウさん、こんばんは。
この本は魚の生態から、ポイントの狙い方など多岐にわたって詳しく書かれているので、餌釣りの方が読んでもおもしろいでしょうね。
マンボウさんが釣りに行かれる源流の写真を見るといつも、毛鉤釣り(フライでもテンカラでも)に最高の川だなぁ、と思います。
毛鉤釣りを試してみるのも良いかもしれませんよ(笑)
おはようございます。
私がフライを手にしたころがS52年ころでした。
自己流で芦ノ湖で偶然1匹のニジマスを買った竿(フェンウィックFF856-5+ミッチェルリール)と毛鉤(モンタナマラブー)で釣っただけでした。感覚としてイマイチ理解はできませんでした。
慣れたルアーで地元遠征釣りを続けていたところ、結婚後地元に帰ってきたS58年ころ、後輩にダッピング(テンカラ様釣り方)から教えてもらいました。
その日に5匹ほどの岩魚を釣ったら病みつきとなり、病膏肓と・・・・。
フライタイイングもそのシーズンからで、フックも英国や米国製でしたし、アイがつぶれていたり、軸がやせてたり1パック当たり1~2本は品質が悪かったです。
パートリッジ社のシマザキヤマメフックなんかを使ってました。今のTMCのフックデザインやパウダー・マテリアルをなさってる方です。
目からウロコの品質でした。自分も餌釣りで使ってましたから当然ですが、欠損品はこの三十数年で2本見たかどうかです。
テンカラの本は本屋で拝見してましたが、馬素自体がそのころから特殊な道具であったこととアウトドアブームからルアー・フライに走りました。
テンカラという固有名詞自体はツチノコで有名な山本素石氏の本から広まっていったような気がします。
いろんな地方でいろいろな呼び方だったのが、長野のある地方(木曽?伊那?)の呼び方を紹介されたのじゃなかったかしら?
石垣先生との接点は羨ましいことです。もちろん私は詳しくはないものの尊敬しております。
工学系でいらっしゃってTVで専門の解説なさるほどですね。あの先生だとタマゲマシタ。
ミノムシテンカラ竿はちょっと買おうと思いましたね。エアーライトXLも。
FFfreakさん、こんばんは。
フライ歴が長いのでいろいろ経験されてるんですねー。
昭和52年頃はまだ日本製の道具やマテリアルは少なかったんですね。
山本素石さんの本は読んだことがあります。釣りエッセイですけどおもしろかった記憶があります。
「テンカラ」というのは木曽地方の呼び名から広まったと何かで読みましたよ。
ミノムシテンカラは源流行には最適です。レベルラインだとちょっと振りにくいので、テーパーラインがお勧めですが(^_^)
こんにちは 馬の毛は、子供の時に父親の釣具の中にあった覚えがあります。小学生の時に父親と一緒にゼンマイの毛を集めたり、木の根を煮て糸を染めた記憶があります。テンカラ釣りまではやりませんでしたが。 釣りキチ三平は人に貸したら返ってきませんでした(T_T)
Kさん、こんばんは。
そうですか、馬素を持っていたということは、お父さんはテンカラ師だったんですね。当時は市販もされていたそうですが、馬素というのも一度使ってみたいですね。ただ、今では入手困難だと思いますが。
本を貸して帰って来ないって結構「あるある」なんですよね。貸した方は忘れないんだけど、なぜか借りた方はすっかり忘れてしまうという不思議。
忘れられた本ってきっと読んでいないんだと思います(^_^;)
おはようございます。
テンカラには何故か秘伝的な要素があって、これがまた面白いんですよね、実際には毛ばりの種類は関係ないと思うのですが、ワシはこれしか使わないとかガンとして譲らない所などもあって、それがまた興味を増してきます、以前、末川の大会の残りを狙って行った時、なぜか私だけが良く釣れて、他の釣り人から毛ばりを見せてくれなどとせがまれましたが、見せてやったら、何だこんなもので釣っているのかというような顔をされましたね、他人の毛ばりにはどうしても興味を持ってしまうのもテンカラの面白さかもしれませんね。
ハックル70さん、こんばんは。
そうですね、各地に点在するテンカラ名人はそれぞれ自分だけの毛鉤、釣り方を持っいるんだと思います。
隣の毛鉤はよく見える、ですね(笑) 管理釣り場で隣の人がバンバン釣っているとどんなルアー(毛鉤)を使っているのか気になって仕方ありません。
ただし、ハックルさんの毛鉤はどんな毛鉤名人が見ても、一目置く毛鉤であることは間違いないと思います(^_^)
遅いですが、明けましておめでとうございます。
「釣りキチ三平」で”毛ばりの神様”では喰いつかずにはおれません。
石化け・・・「毛ばり山人最後の秘技で改めて君に挑戦する」怪しいですがセリフを覚えてますよ!
山人さんにシンゴ(字を忘れた)あんちゃん、飛翔に沈翔(字が曖昧)山人黒バリ、懐かしいです。「釣りキチ三平」は影響受けました、自分のイワナ釣りの原点は”夜泣き谷の左膳イワナ”と椋鳩十の”ツキノワグマ”です。子供のころから山奥のイワナ釣りに憧れたなぁ~
↑の方のコメントで思い出しました。矢口さんが、別冊のマガジンか何かに「バチヘビ」(ツチノコ)を扱った作品を読んだ事が有ります。
テンカラは殆どやったことが無いので、「釣りキチ三平」で長々と失礼しました。
自営業FFさん、あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
食い付いていただき、ありがとうございます(笑)
毛鉤山人と三平くんの対決、おもしろかったですよね。私も夜泣き谷の左膳イワナはおもしろかったし、他にもタキタロウや、谷地坊主が登場するイトウ釣りなんかもかなりワクワクしました。バチヘビも何かに掲載されたのを読みました。
自営業FFさんが源流でやられているウェットの釣り上がりは、テンカラに近い釣り方だと思います(^_^)
僕も今年はテンカラかなりやるつもりなので色々と調べてお勉強しております、早く釣りに行って試してみたいものですね。
ちなみに磯のヒラスズキもルアーあまり変えません、ピンポイント入れては移動の繰り返しかな。
Nori1022さん、こんばんは。
いよいよテンカラ本格始動ですね。すでに年券も購入して気合いが入っているようですね。ほんとに早く解禁にならないかと待ち遠しいですねー。
ただ、私も場合はまだ毛鉤巻きが間に合っていないので、すぐ解禁になってもらっても困るんですが(笑)
磯ヒラもテンポ良くポイントを探っていく釣りなんですね。磯ヒラで鍛えているNoriさんならテンカラでもバリバリ釣りそうですね(^_^)
こんにちは。
1番最初の書籍は電子書籍で読みました。餌釣りにもとても参考になりましたが、ある程度の力量がないと理解出来ない記述もあったような?かなり前なので忘れてしまいました^^;
釣りキチ三平は、いつか全巻揃えようかとおもいながら何年も経ってます。一度に全部買うとなると万単位の出費が辛い。。。
小学生の頃、釣りキチ三平のパッケージの針で小鮒釣ってたのが懐かしいです。
七流釣師さん、こんばんは。
そうですか、電子書籍になってるんですね。テンカラ釣り入門といった感じの本ではなく、釣れるようになるためのコツが書かれている本ですね。
釣りキチ三平は、ぜひ大人買いして下さい(笑) 今は電子書籍版もあるようですし。
三平くんパッケージなんてあったんですか。なかなかの人気だったんですねー。
今年はテンカラ仲間になったので、お互い毛鉤釣りを楽しみましょう(^_^)
確かにテンカラに関しての記述というか、文献というか、情報は際限がなくて混沌としていて面白いですね。
そしてきっと奥が深い・・・まだまだ入り口付近で屯しているボクには何も語れませんが、そんな色々な情報に触れるだけでも楽しい。
ボクも今年は、色々と勉強させて貰わなくちゃ。^^
釣りキチ三平は、やはり多くの人のバイブルですね。
kuniさん、こんばんは。
各地の毛鉤名人と言われたような人たちは、ほとんどが我流で毛鉤も独自のものなのに、それぞれが驚異的に釣果を上げていて、共通点が見い出せません(笑)
いろんな本を読むと益々謎が深まったりしてますが、それはそれで楽しさが増しているような気がします。
大袈裟ではなく、釣りキチ三平は私の人生に大きな影響を与えてくれました。そして今もそれは息づいています(^_^)
私もS52頃にフライとテンカラを始めましたので当時を懐かしく思い出しました。
西東社?の川釣り入門?の書籍で見よう見まねでモノフィラ4号3本縒り、3号3本縒り、2号3本縒り、ハリスの順で1mずつ継ぎ足したテーパーラインを作成し12尺のヘラ竿で釣りをした記憶が有ります。中学生の行動範囲での対象魚はシラハエしかなかったので長続きしませんでしたが。
tamaさん、こんばんは。
この二冊の本が出た頃が日本のフライフィッシングの黎明期だったんでしょうか。テンカラはずっと昔からあったはずですが、一般の人が楽しめる釣りとして取り上げられたのもこの頃なのかもしれないですね。
テーパーラインを手作りしたんですね。私はこれからそれをやってみようと思っているところですが(笑)
ヘラ竿は胴調子なので、確かにテンカラに流用できそうですよね。
中学生の頃にフライとテンカラに着手するとは、かなりの釣りキチ!(^_^)