先日、新旧テンカラ教本をいくつか読んでみた件を書きました。
その中でも40年前に刊行された「かげろうの釣り」は、もう一度読み返してみたらとてもおもしろい本でした。
著者の加藤須賀雄さん自身が試行錯誤した毛鉤や他の方が巻いた毛鉤にまつわる話などもおもしろいです。テンカラ毛鉤はその人の釣り方によりほんとにいろんなものがあるんですよね。
テンカラ釣りはその人その人で釣り方も違うので、他の人がよく釣っている毛鉤を借りて釣ったからといってその人と同じように釣れるというものでもないところが難しいところであり、おもしろいところでもあります。
加藤さんが自分の毛鉤として常用していたゴールデンボトムエレガンスという毛鉤。40年も前なのに、テンカラ毛鉤らしからぬハイカラな名前が付けられているところもちょっとおもしろい。
いくつかバリエーションも紹介されてますが、その基本形を巻いてみます。
当ブログの1ヶ月間によく読まれている記事のデータを見ると、少し前までは「ウグイの洗い」が断トツトップでしたが(笑)10位圏内から陥落し、最近は「ガスストーブ選び」がトップで、あとはジムニー絡みが多いですね。そして、年賀状の時節柄「インクジェットプリンターの目詰まり解消」が6位に浮上しているのが何ともおもしろい。
たまには、釣りブログらしい記事も書かないとね(苦笑)
カゲロウの毛鉤|ゴールデン・ボトム・エレガンス
- フック:MARUTO d04 #12
- ハックル:雌雉
- ボディー:ダイソー刺繍糸(クリーム)
- タグ&アンダーボディー:ゴールドティンセル
フックは以前 kuniさんから教えてもらったMARUTO d04 #12(直販サイトで見る・アマゾンで見る)。
形状はスタンダードなドライフライ用のバーブレスフックといった感じ。
直販サイトだと、100本入りで648円(税込)というお手頃価格がうれしい。3,500円以上購入で送料無料になります。
MARUTOって私は知らなかったんですが、例のチェコニンフに関連してチェコ本国のサイトを見ていたらタイイングにMARUTOフックが使われていてビックリ。
フッキングの善し悪しやバラシが少ないかなどは、今シーズン実釣で確かめてみます。
刺繍糸と雌雉の羽を使って巻く。
「かげろうの釣り」の中では、合成ウルシを鉤に塗ってからティンセルを巻き始めますが、代わりにヘッドセメントを薄く塗ってからゴールドティンセルを巻きます。
頭の方から荒く巻いて折り返し、復路は密にしっかり巻きます。
刺繍用の木綿糸を使うということなので、ダイソーで買ってきました。こんなにいろんな色が揃っていて100円。使うのはクリーム色だけなんですけどね(^_^;)
6本の撚り糸になっているので、20cmくらいに切ってそれを解いて1本を使います。
この糸でティンセルを巻き留めそこからゲイプに向かって巻いていきます。
お尻からちょっとゴールドティンセルが覗くようにして(タグ)折り返し、ボディーにテーパーを付けながら巻きます。
刺繍糸はボビンに巻いてあるわけじゃないから、とりあえずハックルプライヤーで挟んでぶら下げておこう。
アマゾンで見つけた雌雉の羽。小さなパッチなので、430円とかで売ってました。送料が別に250円かかっちゃうけど雌雉の羽は入手困難なので、買ってみることに。これ、外国の雉なのかね。
後で調べたら、このNANEYAというショップはアマゾンや楽天に出店していて、フライ用やアクセサリー用の羽の専門ショップらしい。
HANEYA(楽天で見る・アマゾンで見る)。ここならいろんな羽が入手できそう。
こんな感じのパッチ。
とりあえず、長さの良さそうなところを使ってみよう。
先端を巻き留めて2回転ほど巻いて、刺繍糸で巻き留めます。
ヘッドを成形してヘッドとボトムにヘッドセメントを塗ったら完成。
蓑毛がちょっと長いかも? 普通のテンカラ毛鉤としては問題ないと思うけど、ゴールデンボトムエレガンスはもっと蓑毛が短い。
オリジナルでは雉の剣羽を使ってるんですよね。剣羽は特に入手困難だし、仮に入手できてもとても高価。
刺繍糸はちょっと太くて毛羽立ってるけど、それはそれで悪くはない気がする。
通常のフライ用スレッドを使って、普通の巻き方で再度やってみます。
羽も別の部位を使って。
フライ用のスレッドを使ってよりオリジナルに近づけた形に。
- フック:MARUTO d04 #12
- ハックル:雌雉
- ボディー:ユニスレッド 6/0(ライトケイヒル)
- タグ&アンダーボディー:ゴールドティンセル
アイに向かってゴールドティンセルを巻き、スレッドで巻き留めます。
スレッドでボディーを巻きます。お尻にはゴールドティンセルが少し覗くようにして、スレッドでテーパーボディーを作ります。
こんな感じにテーパーを付けて。
今度は違う部位の羽を使います。二つに裂いて右側の短い方だけ巻きます。
先端から二つに裂きます。意外とうまくいきました。
短い方の羽だけ使います。
軸の白い部分をカッターで少し削って柔らかくします。
下の方の羽はむしり取って、逆向きに指でしごいてこんな形に。
羽の先端を巻き留めて、2回転巻きます。
もうちょっと胴を短めにしておいた方が良かったけど、蓑毛を少し巻き込んでごまかそう(^_^;)
ヘッドを成形して、ヘッドとボトムにヘッドセメントを塗ったら完成。
今度はオリジナルにかなり近いものができました。羽の長さはこんな感じですが、剣羽だともっと張りがあると思う。
オリジナルはヘッドとボトムは少し茶色がかった合成ウルシを塗って仕上げています。
バリエーションとしては、胴を緑がかった色にしたり、金糸銀糸を混ぜたりしたものがあります。
これ、お尻にちょこっと覗くゴールドティンセルも良いし、ボディーも下地の金が少し透けて見えるのが良い感じ。春の渓流で活躍してくれそうな予感がする。
鱒たちは、色をどこまで識別しているのか?
先日紹介した「超明快レベルラインテンカラ」には「サケ・マス類は色が識別ができる。しかし、識別ができるということは、私たちと同じに見えていることを意味しない」と書かれています。
色相の違いではなく、明暗やコントラストの違いで色を判断しているのではないかという説です。
管理釣り場のルアーをやっている時には、同じ形のスプーンでも色の違いで明らかに食いが違いました。場所や日時によって当たりカラーは変わるのですが。
だから、マス類は人間と同じように色がわかるんだと思っていましたが、確かに色の濃淡やコントラストで識別しているのかもしれない。
もしそうだとすると、同じタイプのスプーンを全15色とか揃えてたのはまんまとルアーメーカーの策略にはまっていただけなのか(苦笑)
逆に「人間は赤、青、緑の三原色で色を識別しているが、魚類はさらに一つないしは二つのセンサーも組み合わせて人間よりも色覚が優れている」という研究もあるみたいだから、今のところ魚に聞いてみないとわからない状況だけど。
仮に魚はグレースケールでしか色を識別できないとしたら・・・
これ、フライタイング用のスレッドなんですが、もしかしたら魚にはこんな感じに見えるのかも。それぞれの色が違うのはわかるけど、どれが赤でどれが緑なのかはわからない。
1か6が黒で4が白だろうと思う。黒と白では魚から見ても全く別の色とはっきりわかるはず。
中間色はグレーの濃淡だけで、何色なのかはわからない。
実際の色はこんな感じ。
6はダークブラウンなのでかなり黒に近いですね。
もっとわかりやすく、色相環をグレースケールにしてみましょう。
色相環。
可視光線(赤橙黄緑青藍紫、虹色に含まれる全て)をグレースケールにしてみた。
こうなると、どれがどの色なのかサッパリわからない(笑)
恐らく、一番薄い6が黄色、一番濃い16辺りが赤かな?とか思うけど。
実際の色。
黄色は当たってたけど、一番濃いのは赤じゃ無くて藍辺りだった。
上のグレー画像を見ると、緑、赤、青はほとんど同じに見える。もしかしたら、魚から見てもそうなのかもしれない。
もし本当に、魚は色相を認識できず濃淡のみ(グレースケール)で判断しているとしたら、毛鉤のカラーは黒と白、中間濃度のグレー(緑または赤)の三色さえあれば良いような気もしてくる。後は光の反射の仕方でキラキラ光る素材の有無とか。
これは順光の場合の話で、逆光だと人間の目でもほとんどが黒いシルエットに見えちゃうから、晴れた日には水中から水面のドライフライを見れば、ほとんどが黒に見える可能性もある。
自分の目からはカラフルに見える世界を、グレースケールの目に置き換えて見るとフライタイイング、毛鉤巻きにも新しい視点が加わるかも。
テンカラやニンフのように水中の釣りの場合はともかく、ドライフライの場合は人間からの視認性も考えなきゃいけないけどね。
自分の巻いた毛鉤に魚が食い付く、これが最高の瞬間。
ここまで書いてきたけど、実際にはグレースケールで見えているのか、それとも人間よりカラフルに世界を見ているのかは魚に聞いてみないとわからない。
カラフルなマテリアルを使ってフライを巻くのは楽しいし、きれいなフライで魚が釣れると嬉しさも倍増なので、単に釣れる釣れないだけを考えちゃうとつまらなくなっちゃうってこともあるけどね。
釣りはあくまでも遊びでやってるし、基本的に私は「楽しさ」を追求したい釣り人なので(笑)
コメント
んーー。これは砂虫(モンカゲロウ)の羽化途中の状態(イマージャー)ですね。
動態模写として効果ありそう。
ボディの光モノがちらりとするのは羽化気体(イマージングガス)をまとった状態でしょうか。
はい私も似たタイプを作りました。今年が楽しみ。
FFfreakさん、こんばんは。
そうですか、水棲昆虫の途中形態はあんまり詳しくないんですが、魚から見てなんとなく虫らしく見えて釣れてくれるとうれしいです。
来シーズンのテンカラ目標は、この毛バリでアマゴを釣ることです。たぶん、4月くらいになると思いますが(^_^;)
魚から見てフライや毛鉤の色は、ある程度認識した上で食っていると思います。
ただし食う要素はサイズ、動き、質感なんかも関わってくるだろうし、魚が何を見ているのかは知る由もありませんけどね。
ボクの思うフライや毛鉤に求めるカラーリングの意味は、「ボクが使いたくなる色かどうか」でしょうか。
まずは使い手が「釣れそう」と思うか否かが、最大のポイントだと思っていますから。(笑)
なんてことを言っちゃったら、元も子もないか・・・
kuniさん、こんばんは。
魚は色は識別してますよね、きっと。
釣りって「信じる者は救われる」ってとこありますよね。私自身がそうですが、渓流のルアーやフライを始めた当初は「ほんとにこんなんで釣れるの?」と半信半疑だったので、あまり釣れませんでした。
「このフライなら釣れる」と自信を持って使えるようになってから、釣れるようになってきた気がします(^_^)
魚は見てますね
フライでも色違いで釣果に差が有る事を
経験してます、匂いは同でしょう。
釣りお爺さん、こんばんは。
管理釣り場で同じ形同じサイズのルアーを使っても、色の違いで当たり外れがあるので、魚は色を識別しているでしょうね。
人間とは同じに見えていないでしょうから、どのように色が見えているのか魚に聞いてみたいところです(笑)
40年前の毛鉤を今巻くというのも興味のあるものですね。
伝承毛鉤も同様に温故知新ですし先人の知恵を形にして検証するのは実に楽しいように感じます。
実釣が楽しみですね。
幻の渓流師さん、こんばんは。
フライフィッシングだともっと昔のフライが今も現役で活躍してますが、テンカラは各地の伝承毛鉤が記録として残っていないので、名人が培ってきた知識や技術が消え去ってしまうのは切ないですね。
40年前の名人が使っていた毛鉤、これで春にアマゴが釣れたらうれしいです(^_^)
最近、カラー的にはメイフライが 黄色、緑色 夏場は黒、ピーコックしか使って無い気がします。 カラーを変えると、反応が良い気がするのは気のせいかな^_^;
Kさん、こんばんは。
季節毎にイメージするカラーは私も一緒ですね。
まぁ、私の場合ドライに反応さえし始めれば、9割方はアダムスパラシュートかエルクヘアカディスを投げてますが(笑)
魚がどのように見えているかはわかりませんが、色の違いは識別できるはずなので、カラーを変えてみる価値はあると思います。私の場合、シルエットの全く違うタイプに変えることが多いですが(^_^)
おはようございます。
毛ばり面白いですね、いろいろな事を想像して、そして工夫してそれでいてこれが最高というものが無い、そこが良いでしょう、テンカラにはフライのような名称が無いのもそのためでしょうね、剣羽風の毛ばりはやはり張りが無いと駄目ですね、水中から外に出した時に形がそのまま維持されています、職業釣り師の丈夫さを利用した毛ばりが伝説を生んだのでしょう。
ハックル70さん、こんばんは。
確かに「これが一番釣れる毛鉤だ」というのが決まっていたらつまらないですね。
テンカラの毛鉤は、本当に人によって違っていて、しかもそれぞれ釣果をあげているというのがなんともおもしろいです。
雉剣羽の毛鉤はやはり張りが重要なんですね。職漁師が使っていた毛鉤、どんなものだったのか見てみたいです(^_^)
おはようございます。
かなりの検討外れでしょうが、餌釣りの自分はバイオが多く、1餌で何匹も釣るので、最後は皮だけになって鍼に刺し絡めますが、そんなピラピラ状態でも岩魚は掛かります。
そのカジラレて傷だらけの皮だけになったバイオを鍼に絡めた姿が、最後の毛バリ写真にソックリです。
たぶん色と蓑毛が短いせいでしょう。
マンボウさん、こんばんは。
そんな食べ残しみたいな状態の餌でも釣れるんですね。
それはもはや毛鉤釣りに近いですね(笑)
確かに私もハゼ釣りでは、そんな感じになった青イソメで釣ってましたね。魚は、餌が何であるかではなく「餌っぽい」何かが流れてくると食い付くのかもしれないですね(^_^)
人間の見ている色とは全く違うかもしれませんが、何かしらの違いは感じているのではと思いますね。理論的な何かあるわけではないですけど経験則で。アマゴでもスズキでも全く同じルアーで色の違いで食う食わないという場面に遭遇したことありますね。
Nori1022さん、こんばんは。
魚は色相を人間より豊かな色彩で見ているのか、その逆でグレースケールで見ているのかはわかりませんが、確かに色の違いは識別していると思います。
ドライフライの場合は魚からしたら逆光で見ることが多くなるので、それほど色の影響はないかもしれないですが、水中でしっかり見られるルアーやウェットフライは色が重要かも(^_^)
こんばんは。
色については釣り人の姿永遠のテーマですね。
面白い経験をしたことがあります。
以前、私のブログで紹介しましたウーリー糸です。
そもそも海でアジやイワシを釣るのに導入したのです。
その日も自作のウーリーサビキでアジが良く釣れていましたが、お隣の普通のスキンサビキにはイマイチ釣れていない。私のサビキはウーリーですが、6本針の2本が白。残りは確か緑とピンクでした。その白にばかり釣れるのです。緑は稀に、ピンクは全然釣れません。これはオール白にしたら爆釣かと仕掛けを交換しましたが、釣れ方は殆ど変わらずでした。もしかしたら釣れる数が減ったかも?てな具合です。そこで思ったのは色んなメニューの中で見るステーキは美味しそうだけと、ステーキがズラリと並ぶとそうでもないのかも知れないな、てことでしたね。
七流釣師さん、こんばんは。
なるほど、それはおもしろい話ですね。
それが美味しそうな色だとしても、周囲との相対で見え方が変わるってことですね。
確かに、ステーキがずらりと並んだメニューは見ただけで胃もたれしそうです(笑)
毛鉤釣りに置き換えると、人がたくさん入る川では、他の人が使わないような毛鉤を投げた方が釣れそうですね(^_^)