フライフィッシングのフライ(毛バリ)は、古くから系統立てられた記録も残っているので、今では実に多くの種類があります。
魚を釣るのにそんなにたくさんの種類はいらないと思うけれど、釣れる釣れないとは別にフライタイイング(毛バリ巻き)そのものを楽しむという側面もあるので、毛鉤の種類は益々増えていくばかり。
一方テンカラの毛鉤も実に多くの種類があります。こちらはあまり情報交換はなかったので、テンカラ師の数だけ毛鉤の種類があると言っても過言ではないでしょう。フライのように系統立てられた資料はないので、どんな毛鉤が使われているのか全容はわかりませんが。
その中の一つに「逆さ毛鉤」と呼ばれるスタイルがあります。
通常、毛鉤の蓑毛は鳥の羽の表面をアイ側に向けて、羽は後ろになびく形になりますが、それを敢えて逆向きにして、アイより前方に蓑毛が開く形にしたもの。
通常の毛鉤よりシルエットは大きく見えるけど、どうしてこんな不思議な形の毛鉤があるのか。
逆さ毛鉤を巻く。
この前からテンカラ毛鉤用に使い始めたMARUTO d04 #12(直販サイトで見る・アマゾンで見る)。
お手頃価格なので、じゃんじゃん使えます。
ウェイトを入れて、雌雉の羽を使って巻く。
ウェイト(レッドワイヤー#1)を6巻きほど。
前後にスレッドを巻いて、後ろ側はテーパーを付けて滑らかになるように巻きます。
ストリップドピーコックを取り付けて、ウェイトの手前まで巻きます。
アイの部分じゃなくて、ハールの部分を使っています。
巻いた部分にヘッドセメントをゆるめにして塗り、コーティングします。
雌雉の羽を一枚とりだし下の方のウェッブと呼ばれるふわふわしたファイバーをむしり取ります。
先端部を少し残してファイバーを逆撫でてこんな形に。
裏面を上にして巻き留め、先にヘッドを成形します。
※今回は羽の裏面がアイ側を向くように巻きましたが、水中での羽の動きを考えると敢えて表面がアイ側を向くように巻いてスレッドで押さえた方が良いかも。
ダビング材を撚り付け、ソラックスを巻きます。
これは管理釣り場用に巻いたので、ちょっと目立つ派手なカラーにしてます。
ソラックスと羽の間でウィップフィニッシュします。
チェコニンフ用ロッドと一緒に買ったチェコ製のHENDS ヘアーダビングプラス。
ヘアーズイヤーにシンセティックのキラキラが混ぜられたもの。
こんな感じで完成!
これはフィッシュオン鹿留でニジマスが釣れたので、ソラックスのカラーをもっと地味にして渓流でも使ってみようと思います。
ソラックスを地味カラーにしたもの。羽はちょっと長めの部分でぱらりと薄めに巻いてみました。
ひょっとしたら優秀な半沈ボディーのドライフライに化けるかも。
逆さ毛鉤って前からこんなヘンテコな形の毛鉤でほんとに釣れるのかな、と思ってました。
水に浸けてみて、この形の理由がわかりました。
透明なグラスに水を入れて、糸に結んだ逆さ毛鉤を落としてみます。
ウェイトを巻いているにもかかわらず、最初は浮いていてなかなか沈みません。
何回も少し叩きつけるように落としてみましたが、雌雉の羽って結構浮力あるね。特に逆さに巻くとうまい具合に表面張力が働いてなかなか沈みません。ソラックス(胸)のダビング材に空気をはらんでいるせいもあるか。
何回も毛鉤を落とすと半沈状態になります。写真2枚目のようにハリ先と胴だけが沈んだ状態に。
さらに何回か水に落として水中から見ると、空気をはらんで沈んだソラックス部がなんとも虫らしい。これは食い付いちゃうと思う、自分が魚だったら。あくまでも想像だけど(笑)
逆さ毛鉤の羽がうまい具合に水面に張り付いて、表面張力でなかなか沈みません。
羽だけにジェルタイプのフロータントを塗って、ドライフライとして使ったらおもしろいかもしれない。
フライでは、コカゲロウ・フローティングニンフとかプードル、クリップルダンとか半沈ボディーのフライを巻いていますが、水中に深く沈むこの毛鉤は釣れそうな感じありますねー。
この状態だと視認性が悪いので何かインジケーターをちょっと付ければいいかな。
逆さ毛鉤風のドライフライ、どうでしょう?
本来は、逆さ毛鉤は水中で動かしてこそ威力を発揮する毛鉤。
逆さ毛鉤のドライフライ構想はちょっとおいておくとして、逆さ毛鉤が本来の性能を発揮する水中の動きを見てみましょう。
グラスの底まで沈めて、勢いよく上に糸を引いてみます。
すると羽が開いて、いかにも虫の様に見えます。ちょっとグラスの中だと狭くてイマイチわかりにくいですが、川の流れの中でストップさせたり少し逆引きすれば、広がったり閉じたり、いかにも虫の様に見えるはず。
この生命感ある動きこそがきっと逆さ毛鉤の命なんだと思う。
順毛毛鉤も同様に試してみますが、逆さ毛鉤ほど羽が動かない。
誘って魚を引き出す釣り方では、やはり逆さ毛鉤が威力を発揮してくれそう。
今シーズンのテンカラは、自分でいろいろ巻いてみて主力となりそうなものをいくつか見つけたい。テンカラの場合、少数精鋭の毛鉤で流し方や誘い方で勝負したいと思っています。
しばらくはフライフィッシングの「ニンフ」での釣りに分があるので、テンカラ釣りはやはり山吹が咲く頃からが本番ですかね。
それまでに、ある程度毛鉤を揃えて臨みたいと思います(^_^)
コメント
初めて逆さ毛鉤を見た時は物凄く違和感を感じると同時に、何やら『釣れそう』なオーラをヒシヒシと感じた記憶があります。
実際に最初に使ったのはフライタックルでしたが、何やらイワナの反応がウェットフライの時とは違って、よりアグレッシブに喰ってきたイメージでした。
MARUTOのフックはドライ用だけでストックが1,000本以上あるのは、このありがたい価格ゆえ。(笑)
kuniさん、こんばんは。
逆さ毛ばりは、強烈なインパクトのある毛鉤ですよね。
フライタックルで逆さ毛ばり使ったんですね(^_^) 魚も何かしら惹きつけられるものがあるのかもしれませんね。
イワナもナチュラルドリフトだとゆっくり出て、誘ったりするとバシャッと激しく出る感じしますね。
MARUTO、kuniさんに教えてもらって私もお気に入りになりました(^_^)
こんばんは。
その針の1ランク太いのを使ってます。
この針、ブラックしか無いのが少し不満。
黒いボディにすると針と同じ色ので見栄えが良くないような…まぁ魚から見れば些細な違いでしょうが、ブロンズカラーの針が好きです。
テンカラ毛鉤ってハックルの厚みが違うだけで全然変わってきますから、巻く人によって個性がでますね。リコプテラさんのは比較的薄毛に見えますね。
七流釣師さん、こんばんは。
フライでもブロンズカラーのハリを多く使ってますが、カーブシャンク(懐が広く曲がっているタイプ)ではブラックも結構あるような。
私は黒いボディーならハリも黒い方が一体感があって良いようにも思いますけども、その辺りは好みですね(^_^)
確かに毛鉤は巻く人の個性が出ますね。私は、水中タイプは割と羽を薄めに巻く傾向にあります。
おはようございます。
逆さ毛ばり、私の近くでは全く見た事のない毛ばりで、最初はびっくりしましたね、今はネットで色々な毛ばりを見られますのでなるほどと思う事が多いです、私も最近は逆さ毛ばりを多く巻くようになりました、動機は単純で毛足の長い羽をシャンクの中程に巻き抑え込む事で短く使えるからです、タタキ釣りの多い私には跳ね上げの時に抵抗がかかり羽の持ちが悪いのが難点です、暖かくなって早く振りたいものです。
ハックル70さん、こんばんは。
逆さ毛ばりは、信州では昔から使っていたという感じではないですよね。どこの発祥なんでしょうね。私も以前はこれで釣れるとは半信半疑でした(笑)
鳥の羽って、小さい毛鉤に使える部分は限られるんですよね。なるほど、胴に巻き込めば長い羽も利用できますね。
逆さ毛ばりは水の抵抗によって、羽は傷みやすいでしょうね。一方、その形状から魚が咥えた時の傷みは少ないようにも思います。
来週はかなり暖かくなりそうですね(^_^)
逆さ毛ばりは口に入りやすく出されにくそうな形状ですね。はやく使いに行きたいなー。
Nori1022さん、こんばんは。
そうなんですよね、羽にはじかれることがないのでフッキング率は高いんじゃないかと思います。
Noriさんは道具も毛鉤も準備万端ですよね。このところ急に暖かくなって、こちらなんか4月の陽気とか予報で言ってます。毛鉤に魚が飛びついてくれる季節ももうすぐそこですね(^_^)
こんにちは。
逆さ毛鉤、人間の目から見てもなんとなく釣れそうな雰囲気を感じますよね。
本来は渓流用なのでしょうが、本流の弛い流れや湖でも使えそうです。虫の時期には試してみようと思います。
タキビさん、こんばんは。
逆さ毛ばりは単なる虫の模倣ではない何かを感じますよね。
全く発想にありませんでしたが、確かに大きいサイズを本流や湖で使うのはおもしろいですね。
アトラクター的要素があるので、羽の動きが魚のスイッチを入れてくれるかもしれませんね。私も今シーズンは逆さ毛ばりでいろいろ試してみます(^_^)
アクションを加えた時に良い雰囲気がでる逆さですね。
やや細身で竿先からの反応が早そうで面白い釣りが出来そうですね。
こんど細身のウェットを巻いてみます。
幻の渓流師さん、こんばんは。
逆さ毛ばりは動きが加わった時に、威力を発揮してくれそうです。
魚の活性が上がってきてから登場機会が多くなるかもしれません。いずれにしろ、テンカラの本格シーズンは桜が散って山吹が咲く頃からでしょうか。
いろんなことを想像して毛鉤を巻く時間も楽しいですよね(^_^)