最近、主に調理用として使っているオピネルは炭素鋼で錆びやすいので黒錆加工をしました。
仕方ないからそのまま使って、うちに帰って来てから早速研ぐことに。 シースから取り出すと恐ろしいほどの錆が。
こんなに錆びちゃってるよー。こりゃ酷い(>_<) こんなのベテランアウトドアマンに見られたら、笑われるか怒られるね。 まぁ、私はニワカなので許してもらおう(笑)
前回キイチゴ沢で使って、シースに差してそのままにしてあったんだけど、ミニ薪作りに使ったくらいでこんなに錆びるものなの? キイチゴ沢で使ってから1週間くらいしか経ってないのに。いや、時間経過の問題じゃないか。
乾いた流木を割っているだけなら良かったけど、生木っぽい枝で塩焼き用の串を削ったりしてそのまま湿度の高い状態でシースに入れておいたからだな、きっと。 それにしてもこの錆びはひどい。
それとよく見ると、細かく刃こぼれしている。これも研いで修正しよう。 モーラは調理などの繊細な使い方はしないので、本当はステンレスを買うつもりだったけど間違って炭素鋼を買っちゃったんですよね(苦笑) こんなに錆びやすいならオピネル同様黒錆加工をしておいた方が良さそうだよね。
モーラナイフの黒錆加工
まずは研いで、サビ落としと刃こぼれ修正。
とにかく研ぎましょう。まずは#1000の砥石で錆を落とします。 それほど深く錆が入っているわけじゃないので、少し研げば大体落ちます。 大きな刃こぼれならもっと粗い砥石を使わないと無理だけど、今回のはほんの細かいこぼれ方なので、#1000でいけそうです。
こんな感じに研げました。 これだけでも十分だと思うけど、黒錆加工をする前に包丁でいう「平」と「切り刃」の部分をさらに#3000で研ぎます。
平の部分を錆を落とすために研いだので、「MORAKNIV MADE IN SWEDEN」も文字が消えちゃった。ゴメンナサイ、モーラさん(^_^;)
ナイフでは刃先はエッジ、平と切刃はブレードというけどもっと細かく呼び名があるんだと思う。 ナイフ各部名称とか、そう言えばナイフの鋼材についてもまだまとめてなかったので、合わせてまたいずれ書きます。
とりあえず、今日はナイフの刃の形についてだけ書きます。
ナイフの刃には、主に4つのタイプに分けられます。
研ぐ範囲を赤線で示してありますが、これは「切れ味を良くするために研ぐ部分」という意味で、それ以外のところも錆を落とす目的で研ぐことはあります。
一番左のホロウ。 刃の真ん中辺り(Aの部分)がへこんでいます。このタイプがナイフでは一番多いと思います。研ぐのはセカンドベベルと呼ばれる刃先の部分。セカンドベベルを鋭角に研げば切れ味が良くなる代わりに刃こぼれしやすくなり、逆に鈍角に研げば切れ味はそこそこで長切れする(切れ味が持続する=刃こぼれしにくい)刃になります。Aの部分は研げないので錆には注意。
二番目のフラット。 オピネルはこのタイプに分類されます。オピネルの場合上図のような背のところから平行になっている部分はなくて、全体が薄い刃ですが。 このタイプは比較的研ぎやすく、切れ味も長持ちします。
三番目のスカンジ。 モーラ コンパニオンはこのタイプに分類されますが、実際に刃先を見るとフラットのようにセカンドベベルがあるんですよね。これ、いろんな方のブログを読んでみると私が使っている コンパニオン ヘビーデューティMG カーボンはマイクロベベルが付いている個体と付いていない個体が存在しているようです。 マイクロベベルのないスカンジは研ぎやすく切れ味も出しやすいですが、刃こぼれしやすく頻繁に研ぐ必要があります。
一番右のコンベックス。 和風に言えば蛤刃。蛤の貝殻を合わせたように外側にふくらんだ形の刃。 鉈や斧の刃もこんな形になっていますね。そしてあの日本刀もこの形。 このタイプは刃こぼれしにくいですが、研ぐのが難しいです。
コンパニオン ヘビーデューティMG カーボンの場合は、刃厚がそこそこあるので(つまり刃先が鈍角なので)マイクロベベルを落として(上記した通りそもそもマイクロベベルが付いていない固体もある)薪作りなんかに使っても刃こぼれしないと言う方もいます。 この辺りは自分でいろいろ試してみて、また報告したいと思います。 結局、ナイフは、
- 切れ味
- 刃こぼれのしにくさ(切れ味の持続性)
- 研ぎやすさ
#3000の砥石で、平と切刃を磨きます。刃先は敢えて繊細な刃付けはせずに#1000で研いだままにしておきます。
油分落としをしっかりするのが最重要ポイント。
刃に油分が着いているとムラができてしまうので、シリコンオフ(楽天で見る・アマゾンで見る・ヤフーで見る)を吹き付けて拭き取ります。
シリコンオフは車の塗装補修の時に、油分を取り除くために以前から使っています。シリコンオフを使わなくても、台所用の中性洗剤の原液をスポンジに付けて洗ってからよく水で流せばOKです。
※ここでしっかり油脂分を落とさないと、ムラのある仕上がりになったりするので丁寧に。
紅茶と酢の黒錆加工溶液に1時間ほど浸ける。
さて、今回は刃渡りが長いのでオピネルの時の倍量の黒錆加工溶液を作ります。 鍋に水800mlを入れて沸かし、紅茶のティーバッグを6つ入れて沸騰してから2分ほど煮出します。ティーバッグの銘柄は特にこだわらなくて安いので十分です。
しっかり紅茶が出たら火を止め、水の量に対して3割くらいの酢(今回は240ml)を入れてかき混ぜたら、黒錆加工溶液の完成。オピネルの時より大きめの瓶を用意しました。
モーラ コンパニオンの刃を漬け込みます。このまま1時間ほど放置。
水中からは細かい泡がたくさん出てきてかなり酸っぱいニオイがします。 順調に化学変化が起こっている模様。 1時間後に取り出すと、おぉー、イイ感じに真っ黒。 水で流して水分を拭き取って乾かしたら完成!
おぉー、なんだか渋いナイフになったぞ。 これで錆びにくくはなったけど、アウトドアで使ったら帰って来たらきれいに洗って乾かし、薄く油でも塗っておけば万全かな。 これからもこのナイフは活躍してくれることでしょう。
和包丁を黒錆加工したらどうなんだろう?
炭素鋼って特殊なものじゃなくて、普通に幅広く刃物に使われています。 炭素含有量によって硬度が違うし、その他の金属の含有比率はそれぞれ違うけど。 和包丁(出刃包丁や柳刃)ももちろん炭素鋼だから錆びやすく、しめ鯖なんか切った後なんか少しそのままにしておくと急速に錆びてくるくらいです。
まぁ、和包丁は頻繁に研ぐから錆びやすくても問題はないんだけど、出刃包丁を黒錆加工したら面白いかも。そんなの見たことないけど、やったって別に問題ないよね? でも、研ぎ直しで表面を削っちゃうからすぐに意味なくなるか? いや、平と切刃は錆びなければ研がないから、黒いまま保ちそう。
やってみたいという衝動に駆られている今日この頃です(笑)
コメント
黒い刃って、イメージ的に凄く切れ味が良い気がします。(笑)
格好良く仕上がりましたね。^^
kuniさん、こんにちは。
見た目がカッコイイので切れ味も良さそうに見えますよね。
実際に黒錆加工をする前に結構しっかり研いだので、今現在は切れ味は良いと思いますけども。
このナイフも気に入ったので、オピネルと合わせて長く愛用したいです(^_^)
おはようございます。
きれいに染まるものなんですね、私も毛ばりのバイスが頻繁に使うためか黒染めが取れて、ピカピカに光って錆びやすくなっていますので参考してやればと思ったんですが、油分を取り除くのが駄目かも知れませんね。
ハックル70さん、こんにちは。
確かに言われてみれば、バイスも黒錆加工してみたくなりますね。
おっしゃる通り、バイスは可動部分にグリースが塗られていて脱脂が難しいですね。完全に分解してオーバーホールするつもりなら、できないことはなさそうですが。
刃物だけだと思っていましたが、他にも応用できるかもしれないですね(^_^)
猟師やハンターの方が獲物を解体する際、刃が堅くなければ作業途中で刃がダメになり、一頭を解体仕切れない、よって硬度とねばりのバランスを備えた鋼材が選択される、という話もあるようですね。個人的には研ぎやすいが頻繁に研ぐ必要のあるステンレスより、ある程度刃持ちのする炭素含有量の高い鋼材が好みです。防錆等の実用面では黒錆加工、良いですね。
AKさん、こんにちは。
刃物の鋼材はその配合によっていろいろあるみたいですね。
おっしゃる通り、硬度と粘りのバランスをどの辺りにするのかというのがポイントなんでしょうね。
切れ味が長持ちする(いわゆる長切れする)のは良い刃物ですよね。
ステンレスとカーボンスチールの特性については、もう少し勉強してみたいと思います(^_^)
今晩は。
なんてったって、格好良いですね、黒錆加工。
和包丁が錆び易く困り、使用直後の水洗いと拭きで対応してますか、積極的な防錆処理もありかもですね。
マンボウさん、こんにちは。
そうなんですよ、カッコイイですよね黒錆加工をしたナイフって。
和包丁はほんとに錆びやすいですよね。出刃や柳刃に黒錆加工を施すっていうのは聞かないので、何か問題があるのか。それとも、そんなことをするより頻繁に研げということなのか。
ちょっと試してみたくはなりますよね(^_^)
ナイフを研ぐの苦手です。学校や地区の作業前に鎌を研ぎますが、すぐに切れなくなります(T_T) 少し練習しようかな。黒いナイフ、カッコいいです(^-^)
Kさん、こんにちは。
片刃の包丁は刃先の角度を出しやすいので研ぎやすいですが、両刃のナイフは刃先の角度が出しにくいですよね。
ウチの辺りは農家が多いので、草刈り作業は各人ビーバー(エンジン付き草刈り機)持参が当たり前になってしまい、鎌を使うこと自体が少なくなりました。
黒錆加工をしたこのナイフもお気に入りになりました(^_^)
黒錆加工も渋くていいですね。
実際の黒錆の濃さとかは変えられるのでしょうか?
それとも程よい濃さがありそれが一番良い切れ味を作ったりとかあるのでしょうか?
^^;
幻の渓流師さん、こんにちは。
ブラック仕様はなんとなくかっこいいですよね(笑)
紅茶をしっかり煮出した方がしっかり加工できるらしいですが、あくまでも表面処理なので限界はあると思います。
切れ味に影響するかはわかりませんが、本文に書いた通り黒錆溶液の配合比率は、水400mlに対し紅茶のティーバッグ3個、酢120mlが綺麗に加工できる分量です(^_^)
こんばんは。
是非とも出刃で試して貰いたいです^ ^
私の持ってる和包丁の一つは平の部分が黒いのですが、和包丁にも似たような仕上げがあるのかも?
詳しくないので解りませんが。
七流釣師さん、こんにちは。
出刃包丁に黒錆加工を試してみるか、今のところ考え中です(笑)
売られている和包丁で平が黒いのは「黒打ち」と言って、焼入れにより黒くなった表面を、刃の部分だけは削って磨き、平をあえて黒いままにしたものです。
叩いた跡の凸凹感や無骨さに趣があってカッコイイし、磨き仕上げに比べて錆びにくいという利点もありますね(^_^)
綺麗に黒錆加工が出来ましたね
ナイフだけでなくこの方法を参考にさせて頂きます
有難う。
釣りお爺さん、こんにちは。
少し前にもう一つの愛用ナイフ、オピネルで黒錆加工をやったので、今回はスムーズにできました。黒錆加工溶液に浸けている間は、部屋の中に酸っぱいニオイが充満するのが難点ですが(笑)
黒錆加工は炭素鋼なら刃物意外にも応用できそうですよね。私も他のものでも試してみようかと思っているところです(^_^)
まずは、錆びさせない使い方を覚えなさい
栗林さん、初めまして。
ご指導ありがとうございます。
炭素鋼ナイフをなるべく錆びないようにするには、使った後に水分を拭き取って、一日の終わりには油を薄く塗るくらいしか思い当たりませんが、生木を削った後はミネラル分のせいか水分を拭き取っても錆びやすくなりますよね。一度真水で洗ってから拭けば万全でしょうけど、山の中だとそれもなかなか難しく・・・
栗林さんは錆びさせないために、どのような使い方をされていますか。
教えていただけるとうれしく思います。よろしくお願いいたします(^_^)
僕のオピネルはめっちゃ酢の匂いがとれなくて妙に気になります(笑)こんなものなんでしょうか?
Nori1022さん、こんにちは。
ナイフから酢のニオイ? 黒錆加工をしてからまだ使っていないモーラナイフを嗅いでみたけど酢のニオイは全くしませんよ(^_^;)
オピネルは黒錆加工してからもうだいぶ使っていますが、念のため嗅いでみるとこちらも全く酢のニオイはしません。むしろグリップをオイル漬けにした時のウォルナットオイルの良い香りがします。
もしかしたら、グリップの木部まで黒錆溶液に浸かっちゃいました? 木に酢のニオイが染み込んでるのかも? しばらく使っていれば酢のニオイは薄れるんじゃないかと思いますが。
黒錆加工の後にオイル漬けはしましたか? してないようだったら、乾性油(亜麻仁油やえごま油、ウォルナットオイルなど)に漬け込めば酸っぱいニオイもとれるような気がします。
参考までにオイル漬けについても、こちらに書いてますので(^_^)
https://www.sakanakokoro.com/2018/07/11/29758/
セカンドベベル(マイクロベベル)を落としたらむしろチップしやすくなるんですが…
フルスカンジにすると切れ味だけは良くなるけど、薪割りなどハードに使用するならマイクロベベルは必要
フェザー程度作るのにカミソリエッジにする必要性はない
ヒンナさん、初めまして。
コメントありがとうございます!
おっしゃるとおりで、私の勘違いでした。マイクロベベルがあった方が刃先が鈍角になるから刃こぼれしにくいはずですよね。
記事は修正、追記させていただきました。
このナイフの場合、そこそこ刃厚があるのでマイクロベベルを落としてもカミソリエッジというほどにはならず、スカンジにして使っている人もいるみたいなんですよね。箱出しの状態でこのナイフにはマイクロベベルの付いている個体と付いていない個体が存在しているらしいです。
ナイフについては初心者レベルなので、鋼材や研ぎ方など含めてこれからいろいろ試してみようと思います。
また、アドバイスいただけるとうれしく思います。今後ともよろしくお願いします(^_^)