ざざ虫漁の網にたまに魚が入ることは何回か書いています。
その中で、カジカ、ヨシノボリ、チチブの三種はいずれも外見はハゼみたいで似ています。
※この記事を公開した時点では、三種の紹介になっていましたが、その後新たにウキゴリも捕獲したので追記して四種の紹介記事になりました。
天竜川に棲むハゼに似た三種|ヨシノボリ、チチブ、カジカ
ぱっと見これら三種は似ているので、それぞれの違いをよーく観察してみることにしました。
ヨシノボリ|スズキ目ハゼ亜目ハゼ科ヨシノボリ属
まずは、天竜川本流ではこの三種の中で一番生息数が多いと思われるヨシノボリ。
ざざ虫獲りの網にも一番よく入ってきます。
ヨシノボリは国内では14種類以上の種類が確認されていて、これはたぶん海に降りず一生淡水で過ごすカワヨシノボリという種。
ほっそりした体型で、体長は4〜6cmくらいですね。
体色が全体に明るい茶色をしていて、よく見ると目の所には線が入っています。
腹びれが吸盤状になっていて、流れの中でも石にピタッとくっつくことができます。
チチブ|スズキ目ハゼ亜目ハゼ科チチブ属
続きましては、当初これを私はヨシノボリの大きくなったやつだと思っていた(笑)チチブ。
チチブ属には8種が確認されていて(7種という説も)、日本の淡水域にはチチブ、ヌマチチブ、ナガノゴリの3種が分布しています。
これはその中のチチブ。
ヨシノボリに比べて頭でっかちのずんぐりむっくり体型。
体色が全体的に黒っぽく、体長はカワヨシノボリよりひとまわり大きく成魚は7〜8cmくらいになります。
顔はヨシノボリに似てますね。背ビレや尾ビレはこんな感じ。
顔から体全体に青白い細かい点が散りばめられているのが特徴です。
ヨシノボリ同様腹びれが吸盤状になっていて、流れの中でも石にピタッとくっつくことができます。
カジカ|カサゴ目カジカ科カジカ属
そして三種の中で私が一番好きなのは、このカジカです。
上記二種がスズキ目ハゼ科なのに対して、こちらはカサゴ目カジカ科なので、分類学上はだいぶ離れています。
確かにカジカは他二種に比べてゴツゴツした感じでカサゴっぽいかも。
カジカには小さな卵を産む「小卵型」と、中くらいの大きさの卵を産む「中卵型」、大きな卵を産む「大卵型」の3タイプがあります。今回獲ったものは大卵型で一生を淡水域で暮らすカジカ。
世界には約300種のカジカが確認されていて、日本に生息しているのは約90種とされています。そんなにたくさんの種類があるの?って感じですが、カジカの仲間はかなり深い海から源流部までいますからね。
天竜川支流にいるヤツは体長7、8cmくらいだけど、本流には個体数は少ないけど豊富な餌のおかげか体長15cm近いでかいヤツがいます。
カジカは汽水域や海にもいて、私は河口部でハゼを釣っている時に20cmくらいのカジカを釣ったこともあります。
他の二種に比べて、頭がどでかくゴツゴツした感じです。
上からよく見ると、背ビレの稜線が細く鮮やかなオレンジ色で縁取られています。
体色は灰褐色ベースに不規則な黒い模様が入り混じり、渓流の石の色に完全同化できる色合い。
頭がでかいだけあって、口もでかくかなり大きい餌もパクッと丸呑みしちゃいそう。
ヒレはこんな感じ。背ビレ、腹ビレ、尾ビレともしっかりしてますね。
腹ビレは他の二種と違って吸盤のようにはなっていません。
ヒレというより足みたいな感じになってるから、渓流で水のないところを歩いていたりして(笑)
この三種、ハゼ同様に食べられますが、一番美味いのはカジカです。ただ、カジカはいつでも獲って良いわけじゃなく、例えば天竜川漁協では1月1日〜5月15日は禁漁となっています。それにカジカを筌(うけ)で獲るには県の許可が必要です。
同県内の安曇野の冬のカジカ漁は有名です。
高瀬川下流で筌漁をやっている様子が紹介されてますが、あちらでは冬の漁ができるんですね。
中学生の頃、渓流の餌釣りをやっている時に何度かカジカが釣れたことがあるので、私がもしカジカを捕ろうと思ったら『釣り』になると思います。
本当は『釣りキチ三平』で読んだ『カジカの夜突き』(夏の夜中に箱メガネとカンテラを使ってヤスで突く漁)をやってみたいんですけどね。
★2020.1.13追記:天竜川でもう一種類、ハゼの仲間を確認しました。
天竜川上流部では珍しいハゼの仲間
ウキゴリ|スズキ目ハゼ亜目ハゼ科ゴビオネルス亜科ウキゴリ属
網に入った時にはカジカかと思ったウキゴリ。
ウキゴリ属にはスミウキゴリ、シマウキゴリ、イサザ(琵琶湖固有種)の三種の近似種があります。
ゴビオネルス亜科に分類されているだけあって、他のハゼ科の魚とはちょっと雰囲気が違いますね。
体の模様や色合いなどぱっと見はカジカに似ていますが、上から見ても横から見ても鼻面が長く、扁平な顔をしているのが特徴です。成魚の体長は12〜13cmくらい。
顔を正面から見るとかなり扁平でちょっとナマズに似ています。
背ビレや尾ビレはこんな感じで、繁殖期のメスはこの写真のようにお腹の下が鮮やかな黄色になります。この個体のように第二背ビレと尾ビレの外縁部も黄色になる場合もあります。
同じハゼ科のヨシノボリやチチブ同様、腹びれが吸盤状になっています。
ウキゴリは日本全国に広く分布していて特に珍しいものではないですが、河川の中流部から下流部が生息域のようで、天竜川上流部ではカジカよりも稀少だと思われます。
ウキゴリも他の三種同様に食べられます。
コメント
ブログの更新を、ありがとうございます。
腹びれが吸盤状、なんとも可愛いですね。カジカとあわせて、癒し系の顔にほっこりします。カジカは、丸ごと揚げたのを頭から食べて、こんなに美味しい食べ物があるのかと感激したのを思い出しました。
夜突きは、近々挑戦なさるのですか?
前日の、金属臭の正体を突き止めろは、難しいですが、何度も読み返しています。奥が深いですね…。
テスラさん、こんばんは。
こちらこそ読んでいただき、ありがとうございます。
腹びれが吸盤の形に進化するって凄いですよね。
これら三種はほんとに癒やし系なんですよね。
カジカはカサゴ科なので、カサゴのミニ版みたいな美味さがありますね。
夜突きはやるとしたら夏場ですね。
金属臭については深みにはまって抜け出せなくなりそうです(笑)
ヨシノボリ系統のデカイ奴、鮎の友釣りしてたらたまに掛かってきます。縄張り持ってたりするのですかね。
Nori1022さん、こんばんは。
ヨシノボリ系統のデカいやつって、アユカケのことですかね。
アユカケっていう名前からして鮎に強烈にアタックしてきそうですが、どうなんでしょうね。近い仲間のヤマノカミは縄張りの習性があるみたいですけども。
いずれにしても、鮎の友釣りでこんなの掛かるって面白いですね
四万十川には他にも面白い魚がいろいろ棲息してそう (^_^)
こんばんは。
カジカ、実に格好エエです。
釣った事ありません。
食べた事ありません。
先ずは、生カジカを東山動植物園の日本淡水魚館に行って観てこなくちゃ。
マンボウさん、こんばんは。
カジカ、かっこいいですよね! 好きな魚の中でもかなり上位にランクされます。
私は渓流の餌釣りをしている時に、小さな堰堤湖の流れ込みのような場所で何尾か釣った(たまたま釣れた)ことがあります。
それとは別に食べたこともあって、かなり美味い魚です。
東山動物園にそんな素晴らしい水族館があるんですか。カジカのみならず、イワナやアマゴ、ヤマメをじっくり観察してみたいですね (^_^)
カジカ、ヨシノボリ 最近、見てないですね。気をつけて見てないのもあると思いますが。久しぶりに愛嬌のある顔が見たくなってしまいました。今シーズン、子供とガサガサでもやってみようかな。
Kさん、こんばんは。
カジカは別としても私もざざ虫漁をしていなかったら、ヨシノボリやチチブはあまり見る機会がなかったかもしれません。
昔に比べて個体数は減ってるんですかね。
この三種の顔は本当に愛嬌がありますよね。
夏になったら、ぜひガサガサやってみて欲しいですね。私も堰堤下でやってみようと思います(笑)
おはようございます。
天竜川は魚の種類が多いですね、子供の頃あれだけいたカジカがどこにいってしまったかと不思議なくらいです、汚染のない支流の最上部までいたのですが、今は全く見られなくなりました。
ハックル70さん、こんばんは。
そうですね、天竜川の魚種は豊富ですね。ざざ虫がたくさんいるせいか、とんでもなくでかい鯉もいるし、ナマズやドジョウもいるし。
私は一度だけカマツカも釣ったことあります。そう言えば、ずっと昔にアリゲーターガーが捕獲されたなんて物騒な話もありました (^_^;
私は支流の奥にはまだカジカがたくさんいると思っていましたが、最近減っちゃったんでしょうか。気になるので、夏に調査に行こうと思います (^_^)
カジカの昼間のヤス突きは子供時代に経験があります。
背中は日に焼かれるのに、腹側は冷たいけど、夢中になりました。箱メガネのレンズ効果でみな大物に見えました。
餌釣りで渓流釣りをするとまれにかかりますね。
カジカ酒はやったことないですが、旨いとのことだそうです。
温暖なため、管理釣り場でやってますが、中毒のようにやめられません。
カーボンロッドが出る以前で、フェンウィックFF856-5を買っているので管理釣り場専用に使いますが柔らかいので面白いです。
当時に買ったブローニングとアンバサダー2500Cなら、渓流ベイト釣りに使えることを最近知りました。(等価交換のつもりでhardyライトウェイトに。残念)
ffreakさん、こんばんは。
お、カジカのヤス突きやったことあるんですねー。
いいなぁ、子供の頃のそんな思い出があるなんて。私もやってみたいですー。
私も渓流の餌釣りでは二度ほどカジカがかかったことがあります。カジカ酒、美味そう!
今でもグラスロッドの調子が好きな方はたくさんいますね。
ブローニングとアンバサダーの組み合わせ、今使っていたらカッコイイですね。
でも、Hardyと交換したのも悪くないですね (^_^)
おはようございます。
高瀬の下流でカジカ漁をしているとは知りませんでした。そう言えば高瀬の上流で餌の川虫を採っていると稀にカジカが網に入ることがありました。
子供の頃、近くの池で足元にいっぱいメダカサイズのがいましたが、あれはヌマチチブだったのかな?
小さいハゼ系のサカナは全部ドンコと呼んでましたが。
七流釣師さん、こんばんは。
高瀬川の下流のカジカ漁は冬の風物詩のようです。私も実際には見たことがないですが。虫捕りの網に入るくらいなら、魚影は濃いのかもしれないですね。
メダカサイズのはヌマチチブの子どもでしょうか。
ハゼの仲間、カジカの仲間は日本中結構身近なところにいるんですよね。
地方名もいろいろあって、全部まとめてゴリって呼んでる地域もありますよね。
私はチチブはヨシノボリのでかいやつだと思ってました(笑)
ヨシノボリとチチブはフライで釣ったことがあるけど、カジカだけはないなぁ。(笑)
以前、ルリヨシノボリを飼っていたけど、縄張り意識は強いし中々アグレッシブなヤツらですね。
kuniさん、こんばんは。
ヨシノボリとチチブをフライで釣ったことあるんですか!?
ニンフで釣れるのかな。天竜川上流部にいるヨシノボリはかなり小さいのでフライで釣れる気がしません(笑)
細い藪沢をドライフライで釣っている時に、黒い小さい魚がパシャッと出たことがあって、あれがカジカだったのか気になっています。
ヨシノボリを飼っていたんですね。愛嬌のある顔してるのに、攻撃性は強いのかな。
ヨシノボリ、チチブ、カジカ
こんなにも多かったのですね。川でハゼのような奴はみなカジカと呼んでおりました。
今度見かけるのが楽しみですが上流部に出かけるのが多いのでたぶんカジカで間違ってないのですが自信がありません。
あらためて ヨシノボリ、チチブ、カジカ 2020の新弟子お三方でカジカの面構えから一番の出世株かと(笑)
幻の渓流師さん、こんばんは。
私も子どもの頃は全部カジカと呼んでいました。
ヨシノボリが天竜川にいるのを知ったのはそれからずっと後だし、チチブがいると知ったのはごく最近です(笑)
渓流部であればおそらくカジカでしょうね。
私はカジカが一番好きです。渓流の岩に同化するようなその模様とゴツゴツした外見が源流の主と言うのに相応しいと思います (^_^)