関東甲信越、梅雨の最中。
実家近所のおじさん(というか年齢的にはお爺さん)が、私が釣りやらなんやらやっているというのを聞きつけて、以前使っていた投網を持って来てくれました。もう自分は年だからやらないのだとか。
それはありがとうございます! と受け取ったのですが、今は投網シーズンではないので釣った魚でもお礼に持っていこう。
ということで、魚を釣りに行きます。
お爺さんは3人住まいなので、塩焼きサイズを3尾持って行ければいいな。3尾サイズを揃えるのって簡単そうで簡単ではないんですよね。それなりに良型が釣れそうな川に行って本気を出さないと…
過去の実績からこの川に向かってみよう。
激流に守られた川|天竜川水系麦酒川
久しぶりに万全装備で源流へと向かう。
とりあえず車止めまでプリウスで向かいます。
今まで愛用していたサワークライマーRAのソールおよびアッパーのゴム部のハガレがひどくなってきたので、諏訪のモンベルショップに行って修理依頼してみました。今ではサワークライマーはリールアジャストをやめて、別仕様にリニューアルされているので、修理できるかどうかも含めて戻ってくるまで1ヶ月はかかりそうだとか。渓流最盛期にそんなに待っているわけにはいかなので、即その場で現行品を購入。
それがこのサワークライマーです(直販サイトで見る)。
新型のサワークライマーはリールアジャストではないですがフィット感は問題ないし、構造を変えたことで藪などへ絡むようなこともなくなり、とても快適です。お勧めできる製品ですが、少しだけ気になる点もあるので、詳細はまた後日。
久しぶりに万全の装備で。最強の熊鈴ガーディアンを装着。
そろそろメマトイもうるさくなるだろうから、Foxfire SCダウナーキャップも被ります。
私は普段から山に棲むツキノワグマをそれほど恐れてはいませんが、つい最近県内南部で熊に襲われたという事件やお年寄りが渓流釣りに行って亡くなったという事件が連続して起きているので、穏やかではないです。
先行者の車が一台停まっていて、運転席をちらっと覗くとコンビニのコーヒーカップが2つ見えたのでおそらく二人組の釣り人のようです。
ともかく川へと林道を歩き始めます。
おなじみになったミヤマキンポウゲ。これは有毒ですよ。ミヤマキンポウゲに限らずキンポウゲ科はほとんどが有毒です。食べられるのは、ニリンソウとバイカモくらいです。
それから、これもここではおなじみのトリカブト(猛毒)。
今日は暑くなるかな。最近虫除けにハッカ油(楽天で見る・アマゾンで見る・ヤフーで見る)も使っています。スーッとする香りのおかげで涼しさを感じるところもお気に入り。
普段人が入らないと思われる区間に入ってみるも…
先行者二人は、どの辺りから入渓しているのかと考えながら、川に到着。
まずはいつもは入らない短い区間に入ってみます。今年の梅雨は雨が少なく全般に渇水気味ですが、この川は普段から水量が多いので、激流と言ってもいいくらいです。これは対岸への渡渉が大変だ。
8時半の気温19℃、水温10℃。
いつもフライフィッシングとテンカラ両方の竿を持ち歩いてますが、今日はテンカラのみで戦う予定です。
NISSIN AIR STAGE 冨士流テンカラ3308 6:4、SUNLINEぶっとびテンカラ レベルライン3号(楽天で見る・アマゾンで見る・ヤフーで見る)+FUJINO フロロテンカラハリス1号(楽天で見る・アマゾンで見る・ヤフーで見る)。
毛鉤は、強化型ニセ・スギッパ巻きです。
サワークライマーは快調です。
岸際から見上げると、大木の根に抱え込まれた大岩が今にも落ちて来そうで怖い。
そんなことを思いながら一歩踏み出したら、写真2枚目の黄色丸印からイワナが走りました。
全体に水圧あるので、流れが弛んだポイントを狙って毛鉤を打っていきますが、反応ないですね。
あんまり人が入らない区間だと思ったんだけど、砂地には足跡もあったりして、これは厳しいのか。
1時間以上経過して、やっとここの巻き返してイワナが釣れました。もう少し大きいのをキープしたいのでリリース。まぁ、なんにしろ釣れたのは良かった。
その後はまた全く反応ないまま、この区間の終点(つまりは通過不可能地点)まで辿り着いたので、一旦川から上がって林道を歩き、再入渓。
頑張って竿を振りましたが1尾しか釣れず、ちょっと焦ってきます。でも、標高高いところだとまだ今の時期はお昼頃から魚の活性上がることが多いから、慌てず騒がず早めにゆっくりお昼でも食べて気分転換しよう。
焦れば焦るほど釣れなくなる。気分転換に美味しいお昼を。
これ、タフまる Jr.用に買った鉄板。
テンマクデザイン男前グリルプレート(楽天で見る・アマゾンで見る・ヤフーで見る)。この鉄板ソロキャンプに最適ですよ。
そして、これをポケットストーブ+ソロアルコールストーブで焼こうと思って持って来たけど、ポケットストーブのゴトクの足がちょっと短すぎた(笑)
鉄板を乗せると火が消えちゃうので、今日はガスストーブのみで対応するしかない。素直に固形燃料にしとけば良かった。
マイクロマックスULとアルパインクッカー16でお湯を沸かします。
豚肉とキムチを混ぜて冷凍して持って来ましたが、ちょうど良い具合に解凍されています。
お湯が沸いたら一旦クッカーから降ろし、鉄板を乗せて油を少しだけ引いて豚キムチを焼きます。
やはり厚い鉄板だと焦げ付かないし、うまく焼けますね! この香り、たまらん!
あとは再びクッカーを火にかけ、そうめんを茹でます。
茹で上がったら洗って冷やして、自家製のトマトダレをぶっかければ出来上がり!
トマトダレの作り方
材料(2人分)
- トマト 2個
- ミョウガ 2〜3個
- 青シソ 3枚
- おろしショウガ 小さじ1
- めんつゆ(2倍濃縮) 100ml
トマトは1cm角くらいにカット、 ミョウガはみじん切り、青シソは千切りにする。保存容器に入れて、おろしショウガとめんつゆを加えたら、出来上がり。超簡単!
夏にこれをそうめんや冷や奴に掛けると最高なのです。
本日の渓流メシ
・トマトのぶっかけそうめん
・豚キムチ
・おまけのベーグル
・食後の紅茶
夏の渓流で食べるこの爽やかなそうめん、最高です!
厚い鉄板で焼いた豚キムチとの相性も抜群。
さて、満腹になると心も落ち着いて(落ち着き過ぎてちょっと眠くなってきたりするんですけどね)、よし、この後は釣るぞ!という気持ちになります。
目標達成のため、ここからは本気を出さないとヤバい。
なんか西の空からは暗雲が湧いてきてますが、大丈夫ですかね?
ともかく、ここから本気で釣ります!!
しばらく荒瀬が続くので、イワナが定位できそうな小場所を丹念に探っていきます。
この白泡の向こう側の巻き返しからガツンっと出ました!
良型だったので激流を跨いでこちらに寄せるのにやや手間取り、さぁ取り込もうとしたら今度は右側の立木が邪魔で竿を思うように立てられず、あたふたしているうちにまさかのバラシ!
いやー、これは悔しい!!! バカバカバカ、俺のバカ!
毛鉤が浅くかかってたかな、取り込みに時間を掛けすぎた。
めげずに前進し、落ち込みが真ん中の石で2つに分けられ再び合流する付近。
ん、これも良い型かも。ぐいんぐいんと引くのを竿の弾力でいなしますが、パワーがあって下段に下られたので焦りました。
さっきのバラシが脳裏にあるので少し強引に早めに寄せてランディング!
よし! 尺にほんのちょっと足りないけど、いいのが釣れました!
ただ、これは良型過ぎて逆にキープするのは惜しいので、リリース。
24〜25cmくらいのを3尾揃えたいんだよね。
ここの流心脇からも小さめのが出ましたが、これは掛かりが浅くてバラシ。
今日はピンスポットの叩き釣りではなく、レベルラインを使って自然に流すスタイル(流し釣り)で釣っています。
平瀬流心の脇、フラットな水面でドライフライでも狙いやすそうですが、手前に強い流れがあるのでドラグが掛からないように気を遣う必要がありますね。
テンカラ竿だと、強い流れを跨いで毛鉤を落とせるのがアドバンテージ。
白泡の切れ目辺りで食ってきました!
羽蟻や毛虫をたくさん食べているイワナ
胃袋の中を見ると、甲虫類や羽蟻、毛虫など陸生昆虫がぎっしり。水生昆虫はほとんど食べてませんね。フライフィッシングならアントやビートルが良さそう。テンカラなら黒い毛鉤でしょうね。
胃の内容物で一番多かったのが羽蟻。時期によって羽蟻がかなり流れる日があるみたいなんですよね。写真1枚目の左上は羽のないムネアカオオアリのようだけど、他の2匹もムネアカなのか?
それから、川岸の灌木で見かけたマイマイガ? これも胃袋から見つかりました。
小落ち込みでまた小さいのをバラした後、小さなプールの流心向こう側、緩く巻き返しているところからも出ました。
これも良いサイズですが、ちょっと痩せてますね。これからもりもり食べて太ってもらおう。
川は開けていて気持ち良くテンカラ竿を振れますが、空模様が気持ち良くない。どんよりしてきて、雨は降らないよね? 今日は雨具持って来てないよ。
私が使っているテンカラ毛鉤(強化型ニセ・スギッパ巻)はハリのサイズが大きめでシルエットも大きいせいか、ドライフライで狙うより大きいのが釣れることが多いです。
ここでは珍しくチビがすっ飛んできましたが。この後ももう一尾チビちゃんが釣れました。
陸生昆虫のシーズン、テンカラ釣り絶好調!
右側にある平らな大岩の向こう側、視認できないけど白泡の切れ目辺りに毛鉤を打ち込んで流します。落ち込みの肩でガツンっと食ってきました!
この巻き返しでは、コツンっとアタリが伝わって一瞬ブルンと竿を震わせますが、バラシ。
その後、ダメ元でもう一度下流側に打ち込んで巻き返しに乗せて送り込むと、ゴンっと食ってきました。同じ個体ではないと思うけど、今度こそしっかり鉤掛かり。
岩に分断された流れが再び交わる辺り。かなり高確率で魚が餌を捕食しようと定位してますね。
このイワナも全長はありますが、本格的に陸生昆虫を食べ始めて間もないのかちょっと痩せてますね。
ドライフライの場合だと、1本のフライで1尾釣ったら水分を取ってフロータントを塗り直すなり、フライを交換するなりしなければいけませんが、テンカラの場合はすぐにまたそのままの毛鉤で釣り再開できるので、どんどん釣り上れるんですよね。
前に先行者がいれば、逆にゆっくり釣り上った方が良いからフライの方が良いですけど。
とりあえず、ここまでで良型3尾揃えることはできたし、雨が落ちてくる前に帰り支度をしようかな。
このポイントが最後。
激流脇の深さのあるタルミ。こんな深さのある場所でも、魚に食い気があればほぼ一投目で反応があります。
気付いたら、今日は毛鉤を全くロストすることもなく、この毛鉤1本だけで釣りをしていました(笑)
いつか巡り会いたい山菜、ホンナ。
林道に上がって帰路に就きます。
林道脇にはフキがたくさん生えてます。標高の高いところのフキはミニチュアみたいなサイズしかない場合もありますが、ここのフキは普通に食べられるサイズです。
今の時期ならまだ柔らかそう。あんまり遅い時期になると、茹でても固くなって食べられません。
このシソそっくりのやつ。当然シソの香りは全くせず、アカソの仲間のような気もするけど、葉に艶が全くなく、なんだろね、これ。
それからこれは、探し求めているホンナ(ヨブスマソウ、イヌドウナ)に近い種類だと思うんだよね。時期的にはもう遅いけど。ホンナ探しは継続中。
車止めに辿り着く頃には、まだ辛うじて残っている青空を挟んで白い雲と黒い雲がせめぎ合っていました。
今日は、目的のイワナ3尾を揃えることができたし、楽しい釣りができました。
私が渓流三神と呼んでいる、川の神様、山の神様、空の神様とも歓待してくれたようです。ありがとうございます!
イワナは翌朝、例のお爺さんに届けると顔をくしゃくしゃにして喜んでくれたので、釣ってきた甲斐があったし、私もとても嬉しくなりました。
コメント
自分に「おみやげ」の条件を課して、これだけの結果を出すなんてボクには無理です。(笑)
しかも24~25センチを3尾なんて・・・
ボクなら間違いなく最初から各サイズをキープして、結果として良さげな3尾を進呈しちゃうかな。
いや、それにしても良い釣りでしたね。^^
そして勿論、良い沢メシでしたね。
おじさん(お爺さん)は、そんな人柄のリコプテラさんだから大切に使ってきたであろう投網を託そうと思ったんですよ、きっと。
差し上げられたイワナそのものよりも、「気持ち」が嬉しくて顔をくしゃくしゃにして喜んでくれたのでしょうね。
なんだか読んでいたボクも、ちょっと幸せな気分になりました。
kuniさん、こんばんは。
今回はたまたま上手くいっただけなんですよね(笑)
ただ、川選びは重要で、それなりに実績のあって期待に応えてくれるであろう川を選びました。
人に喜んでもらえるのは嬉しいですよね。久しぶりに真剣に魚釣りをした甲斐がありました。
お早うございます。
良い釣りをされました、理想の釣りの楽しみ方ですね、必要に応じて美味しいサイズをきちんと揃えるなんてなかなか出来ません、確かにイワナの尺物は食べても美味しくないですね。
テンカラの面白い所は、必ずしも虫に似ていない毛ばりで釣れるところかもしれません、それと毛ばりや仕掛けを気にせず釣りに専念できるのがテンカラの良い所かもしれませんね、強化スギッパ巻きでさらにテンカラの良い面が出ましたね。
それとニセスギッパ巻きの呼称は止めて、スギッパ巻きで伝承したらどうでしょう、私もその方がお仲間が出来て嬉しいです。
ハックルさん、こんばんは。
なかなか自分の思い通りにはならないところが、釣りの難しさであり面白さだと思いますが、今回の川は期待に応えてくれました。
おっしゃる通りで、人間の目から見て虫にそんなに似ているわけではない毛鉤で釣れるのが不思議でテンカラに惹かれるところです。
師匠に認めていただければ、これからは「ニセ」をとって「スギッパ巻」の呼称を使わせていただきます。ありがとうございます!
ちょうどよい三匹。
とても難しいミッションなのに揃えることができて流石です。
魚の価値が分かる人に食べてもらえるのならばとてもよいことです。
私の場合は子供や母が喜んで食べてくれますが、「小さいから逃がしてきた」と言う事が多く、「なんで?」と不満そうな顔をされます。
サカガミさん、こんばんは。
いつもなら「今日はキープするぞ」なんて意気込むと大概上手くいきませんが、今回は人のために釣るってことを川の神様もわかってくれたのかもしれません(笑)
リリースする理由はいろいろあると思いますが、釣りをしない人にはなかなか理解されないかもしれないですね。
こんばんは
根気よく3匹を揃えて、流石ですね。
イワナの定位場所からすると、水勢が余程強いのか、水温が10℃台前半なんでしょうか。
それとも、餌釣りと偽餌釣りで、自然と定位場所に対する認識が変わるのかも知れません。
いずれにしても、綺麗な流れの綺麗なイワナですから、美味しかったでせう。
マンボウさん、こんばんは。
人に差し上げるとなると、やはり同じくらいのサイズじゃないと格好付きませんよね(笑)
この川は写真で見るよりも水量水圧ともかなりのものです。水温は一日を通して10℃でほぼ変化ありませんでした。
毛鉤釣りは極端に深い底は狙いにくいですが、基本的に餌釣りと狙うポイントは同じだと思います。
大きいイワナですね。
熊とか出そうな源流ですね。
熊対策は大丈夫?
nanaさん、こんばんは。
今回は良いサイズのイワナがたくさん釣れました。ありがたいことです。
唯一の熊対策は、ガーディアンという熊鈴を携帯していることです。高音でかなり遠くまで響く最強の熊鈴です。
この川近辺では熊を見かけたことはないですが、今まで熊には7、8回出会っています。
そのほとんどが子熊で山に棲む親熊は人間より五感が発達しているので、こちらより先に向こうが気付いて逃げて行ってくれます。