初日は野営地に辿り着いて眠ることができさえずればOKという気持ちで谷奥へと向かいましたが、崩れた林道が想定外に修復されていて、予定よりもだいぶ早く到着。
おかげで、イワナを釣って刺身を食べることもできて大満足のうちに深い眠りに就いたのです。
源流で今生きているのを実感|天竜川水系イタチ谷(2日目)
明け方4時頃一度目覚めました。
一瞬、今現在自分がどこで寝ているのかわからなくなりました。
あぁ、山奥の川辺で寝ていたのか。
まだ真っ暗なので、そのまま二度寝。
源流で食べる炊き立てご飯。O沢目指して出発!
5時過ぎになり、寝袋のぬくぬくから這い出すのを逡巡しているうちに、辺りは急速に明るくなってきました。
意を決して活動開始です!
8月とはいえ、さすがに源流の朝は寒い。火のありがたみを感じますね。
アルミパーソナルクッカーの小鍋でご飯を炊きましょう。チタンパーソナルクッカーの方ではお湯も沸かしまして。
クッカーいろいろ買いましたが、結局のところ山ではこのクッカーが一番なのかも。
火のありがたみを感じます。
火を自在に扱えるようになった人間ってほんとに凄い。やはり人間と他の動物との決定的違いは火を扱えるかどうかなんだな。それによって余計な悪さをするようになったとも言えるけど。
川辺だと瀬音でご飯を炊いている時の音がかき消されてしまうので、木の枝をクッカーに押し当ててコトコトいう音で判断。
あとはフリーズドライの親子丼の具と味噌汁にお湯を注ぐだけ。
山のうつわに盛り付けたら出来上がり。
本日の渓流朝メシ
・親子丼
・味噌汁
・食後の紅茶オレ
こんな早朝に源流で炊き立てのご飯を食べられる幸せよ。
昨日濡れたタイツやら靴下やら干しといたんだけど、まぁ乾いてないよね。
ずっと使っていたモンベルのWIC.サワークライムソックス。これは今はもう生産終了になっていて、クリマプレン プレーンソックス(直販サイトで見る)も買ったので持ってきました。
いつも湿った靴下履く時が嫌だったけど、今朝は乾いたソックスを履けるので気持ちいい。
いいね、これ。保温力も高そう。
今晩用の薪が足りないので、また対岸に渡ってせっせと薪作り。
瀬戸際ハウスの後ろの森、もしかしてキノコが生えてたりしない?
このキノコがたくさん生えてましたが、これも…何なのかわからないな。うーん。
はっきりわかるやつ、ありました。ナギナタタケ。
これは食べられるんですよ。でも、それほど味は無く、酢の物にしたり彩りとして添える程度。今日は食べません。
最近、山や川で綺麗な花を見つけると写真を撮ってあとで調べるようにしています。
私は山菜やキノコについては詳しく調べてますが、それらに限らず、山や川で出会う花や虫や鳥、名前がわかった方が楽しいんじゃないかと。
この花はヒメミヤマウズラ。
指の大きさと比べてわかる通り、とても小さくてかわいい花です。
源流で生まれ育った逞しくも美しいヤマトイワナ。
さて、釣りに出発です。
テンカラ竿を片手に歩きますが、今日の目的地は今まで釣ったことのないO沢です。
本流筋を遡り、その沢がどんな状態なのか確かめるのが今回の目的です。
昨夕釣り上った辺りは足早に通り過ぎる…つもりだったけど、ちょこっとだけ様子見。
昨日いいサイズが釣れた大きな巻き返し。
イワナが溜まっていそうな感じなので、今日も毛鉤を打ってみよう。
淵尻(手前の落ち込みの肩)付近には定位していませんね。昨日釣れた巻き返し真ん中付近が居心地が良いのかな。
上からのゆったりした流れと巻き返していく流れの境目辺り。
自然に沈ませながら流していた毛鉤を食い、ぐいぐいと竿を絞り込みます。良型っぽい。
もしかして、昨日のイワナがまた食った?
一旦空気を吸わせようと竿を立てて寄せますが、大岩の下へ潜り込もうと突進されたり、かなりパワフル。昨日のより大きそうです。自分が右へ回り込むことにしました。
よし、これでこちらへ頭を向けて一気に寄せよう。寄ってきたところで、背中のランディングネットを、…あれ? ネットが無い!! もしかして、さっき1尾釣った時に川辺に置いてきちゃった?
などと一瞬ためらった隙に、またイワナに走られ。仕方ない、小さな中州になっている砂地にずり上げよう。
なんとか、ランディング。
やっぱりフロロ0.8号のハリスは頼もしいな。フライで普段使っている7Xティペットだったらヤバかったかも。
こんなのが釣れればもう満足ですが、今日はまだ釣り始めたばかりだし、目的のO沢の状態を確認しなければ。
ちょっと引き返して、置き忘れたランディングネットを回収してさらに先に進みます。
時間に余裕があるので、毛鉤を打ちながら遡ります。
平瀬の駆け上がりで小さいのをバラし、大淵落ち込み白泡脇でかかった良型は手前に走られて痛恨のフックアウト。
一つのポイントで粘らずに、釣れなければどんどん先へテンポ良く進みます。
水深のある流心の向こう側、やっと釣れたと思ったらチビイワナ(笑)
今日は早々に尺イワナが釣れたので笑っていられるけどね。
各ポイントにイワナはいますが、魚影はそれほど濃くはない感じ。
流れが別れて細い廊下のようになったポイント。こういうところ、イワナは大好きですね。イワナがゆらゆらと見えています。羽蟻毛ばりを打ってみます。
おっ、きました! 見えた感じより大きそうです。
お昼を食べて一休み。さらにその先へ。
その後もポツポツと釣りながら遡り、少し早めにお昼を食べることにします。
今日も質素にいきます。
材料は朝炊いたご飯の残りと、緑色の細ネギに見えるのは茹でたミズを細かくカットしたものです。魚肉ソーセージとフリーズドライの玉ねぎスープ、チャーハンの素、フライドガーリック。
簡単にできあがります。
簡単に出来上がった本日の渓流昼メシ
・ミズ入りガーリックチャーハン
・飴色玉ねぎスープ
ミズのシャキシャキした食感とトッピングのガーリックが効いていて、うまいです!
質素にしたつもりだけど、なかなか満足度高い仕上がり。
スギッパ巻きタイプの蟻毛ばりと、マイマイガをイメージして巻いた毛虫毛ばり。
これらも試しながら釣り上ります。目指すO沢はもうすぐ近くのはず。
時間はまだ正午前。
こんな小さいのも毛ばりを食ってきますが、毛ばりをうまく咥えられず、バレてしまうことも多々あり。小さいからオートリリースで良いんだけど。
落ち込みの肩。餌を待ち伏せしている定番ポイント。
このくらいのサイズはそこそこ出るので楽しいです。
新竿はピンポイントキャストできるがバラしが多い?
そうこうしているうちにO沢に到着。ちょっと疲れたので、ひと休み。
小落ち込みの巻き返して小さいのをバラし、
大淵の沈み石の手前で掛かったのはやや良型だったけど、これもバラし。
どうも、この竿、やはり6:4竿に比べてバラしが多い。
O沢でのキャッチ1尾目。これはバレても良いサイズなんだけどな。
こういう、手前に浅瀬が広がる大ポイントはテンカラでは狙いにくい。
イワナがゆらゆらしているのが見えていました。気付かれないように姿勢を低くして慎重に近づいて毛ばりを打ち込まないと。
黄色丸印に小さいイワナが何尾か見えます。
毛ばりを打つとすぐに食ってきましたが、うまくフッキングせずバラしました。
このくらいのサイズはたくさんいるから、来シーズンは大きくなってくれるでしょう。
夕方になってイワナはさらに高活性になってきました。
時間はすでに夕方16時過ぎ。そろそろUターンした方が良さそう。
最後にいいサイズが釣れたら、そこで終わりにしよう。
このくらいのは釣れるんだけど、なかなか都合良くはいきませんね。
透明度の高い大淵。
手前にはイワナはいないようで、身を屈めて少しずつ前進。
対岸の大岩際に毛ばりを打ち込むと、小さいのが浮上してきて毛ばりを食うかと思いきや寸前でUターン。
もう一度、また近くまで来てUターン。毛ばりが見切られているのか。何尾か魚影が見えるんだけどな。
ちょっと粘って何度か毛ばりを打ち込んでいると、どこからか大きいのが浮上してためらわずに、毛ばりをパクリっ!
これはいい型だぞ。
尺には届きませんが、いいのが釣れたのでこれで気分良く納竿にします。
川辺に咲いていたこの花も目に留まります。
これは、コウメバチソウ。
ヒメミヤマウズラとコウメバチソウ、どちらもセンスを感じるネーミングです。今回はこの二つの花の名前を覚えました。
結構上ってきたから、足早にキャンプ村へ引き返します。
途中に網に入れてキープしておいたイワナの場所がわからなくなって、右往左往するはめに。やっとのことで見つけましたが、だいぶタイムロス。
釣り上っている時は全然苦にならないけど、下りは長く感じるんですよね。こんなに歩いたっけ?
帰って来た我が家。ゆっくり晩ご飯を楽しもう。
やっとのことで、モミの木キャンプ村に到着。あぁ、疲れたぁ〜。
2日目、荷物を全部まとめて遡った先に泊まるという選択肢もあったけど、全荷物を背負っての遡行は身軽さに欠けるのが問題。それに、遡行先で再度の設営やら薪集めってなるとそれにかなり時間を取られるので、考えちゃうんです。
干して置いた靴下、曇りがちだったからあんまり乾いてないね。
今日はイワナを焼いていただこう。
今日も胃袋と心臓、肝臓もいただくのだ。
胃袋は開いてからよく洗わないと苦みがありますよ。
胃袋の中身はやはり甲虫類、それからトンボも食べてました。
火を熾し、ご飯を炊いてお湯も沸かします。イワナの内臓類はご飯に入れて炊きます。
焚き火を始めた途端に、辺りは闇に包まれました。
今日も簡単にできるご飯です。
レトルトカレーとフリーズドライの豚汁。
イワナもいい感じに焼けてきました。
源流に来た時くらい河原で直火の焚き火をすればいいじゃん、て思うでしょう?
太い流木を火床にして、大きな焚き火をした方が楽だし、長い時間燃えてるし。
だけど、大きな焚き火をしてしまうと原状回復するのが難しくなるし、焚き火跡が残っているとそのうちにそこに空き缶を投げ込んだり、ろくなことしない輩が沸いてくるんですよ、高確率で。源流でそんなことされたらたまらない。
というわけで、私はいつもピコグリルを使って焚き火をしていて、そこに泊まった痕跡は消し去るようにしています。
本日の渓流晩メシ
・イワナの内蔵入りカレーライス
・豚汁
・イワナの香草焼き
カレーと豚汁。なんか昔の飯ごう炊さんのようなメニューだけど、疲れた時はこういう海あわせが体に染みます。最高です。
イワナの香草焼き。
シンプルな塩焼きもいいけど、香草焼きはなんかゴージャスな味わいです。
頭と中骨は今日もじっくりカリカリに焼いて食べます。
予備食料として持って来た餅も焼いちゃおう、この際。しょう油を付けて焼き海苔巻いて食べます。
自分が生きていることを実感。私が源流へ来る理由。
満腹になったところで、しばらく焚き火を眺めてぼーっと過ごし、気付くと21時近くになっていました。
瀬戸際ハウスの寝袋に潜り込むと、薄い雲がかかった空に月が昇ってきていました。
聞こえるのは瀬音のみ。
源流にやってきて流れの傍で寝ていると、「生きている」実感がします。
いや、普段も下界でも生きてますよ、もちろん。生きてるんだけど、なんか仮の姿みたいな(笑)
戦争を始めた大統領なんかも、こういうところに一人で来て泊まってみればいいと思う。きっと自分のやっていることの馬鹿馬鹿しさがわかるに違いない。
そんなことを思いながら2日目の夜も更けていきました。おやすみなさい。
・・・3日目につづく。
コメント
おはようございます
実に綺麗なイワナ達です。
やはり、大物岩魚の迫る様な顔付が最高です。
川の感じも、何年かに一度は土石流の様な大水が出ているかのように、岩と砂利が混在している野性味あふれる表情がエエです。
そんな山奥でワイルドを超えて心鎮かに過ごせば、満たされますね。
マンボウさん、こんにちは。
野性のイワナは鰭がしっかりしていて、綺麗ですね。顔つきも成長するに従いワイルドになってきますね。
河原が広いということは、定期的に大水が出ている証拠だと思います。渇水期には遡行しやすいっですが、雨の増水は注意しないとと思っています。
携帯電波も届かないこんな山奥に、時々リフレッシュしに行きたいです。
とにかく羨ましい。
イワナパラダイス。
これだけよいところで釣りとキャンプに没頭してみたいものです。
サカガミさん、こんにちは。
ここは山奥ではありますが、体力さえあればアクセスは比較的容易なので釣り人は結構多いんですよね。それでも、野性のイワナはたくさんいて「イワナパラダイス」は間違いではないかもしれないです。
今は無理ですが、状況さえ許せば本当は一週間くらい籠もっていたいんですけどね(笑)
さすがリコプテラさん8月の下旬にこれだけ結果をだされるとは。
8月9月はほんと小物ばっかり釣っていたような気がします。
9月の最終週に今回入られた沢(川ですよね?)の出合付近でシルナイロンのティピーとチタンの薪ストーブを持ち込んで釣りキャンプしてきました。
軽量コットとチェアまで持ち込んでかなりラグジュアリーに過ごしましたが
こういうのもいいなぁと思っちゃいました
ほとんど酒飲んで読書してただけでしたが
Ctcnさん、こんにちは。
やはり小物が多い印象ではありましたが、川神様の恵みによって良いサイズも釣れて満足できる釣行でした。
シルナイロンにチタンと軽量素材ではあるけど、ティピーと薪ストーブ? さらにコットとチェア??
それらをあんな所まで持ち上げたんですか!? ビックリです。凄い体力ですね!
いやでも、源流に酒飲んで読書して優雅に過ごすのもいいかも。
それだけ快適なベースキャンプを設営したら、私なら一週間くらい谷に籠もっているかも(笑)
>写真を撮ってあとで調べるようにしています
ボクも野鳥の写真を撮り始めたきっかけは、まさにコレです。
小さな野鳥なんて、しっかり見たつもりでも帰ってPCに向かう頃には記憶が曖昧になってて同定はほぼ不可能ですものね。
良型イワナ、なんとも精悍で良い面構えですね。
そしてこのイワナのおかげでネットを忘れたことにも気付かせて貰えたようで、有難み倍増ですね♪
「簡単に出来上がった本日の渓流昼メシ」と言いつつ、きっちりと良い仕事をされている。^^
新鮮なイワナをたくさん手にしているのに、あえての魚肉ソーセージ。(笑)
と、思ったら晩餐用のイワナはキープしてたのね・・・探し回ったみたいだけど。
「昔の飯ごう炊さんのようなメニュー」でイワナの内臓入りカレーは、ほぼ100%出ませんって。
これはリコプテラさんならではのメニュー!
たくさん釣れた2日目からして、3日目のレポートも楽しみですね。
kuniさん、こんにちは。
そうなんですよね、写真に撮らないと記憶だけで調べるのは無理なんですよね。花の写真は簡単に撮れますが、野鳥となると写真を撮ること自体がなかなか大変で難しいですね。
そうです、ここでこのイワナが釣れなければ、だいぶ先に行ってからネットを置き忘れたことに気付き見つけるのも困難だったかもしれません。ありがたいことです。
キープしたイワナ、本当に見つけるのに右往左往しました。上りと下りでは渓相が違って見えるのでわかりやすい大きな目印を付けておかないといけないと反省しました。
確かにカレーにイワナの内蔵入れるのは私くらいでしょう(笑)
おはようございます。
素晴らしい釣行記ですね、憧れの釣りです、それにしてもきれいな渓谷ですね、天竜川水系ですか、奈良井川源流にも似たような源流が有りますが、釣行距離が長すぎてとても今では行けませんが、昔を思い出しました。
kita80さん、こんにちは。
ありがとうございます。私は人が全くいない山奥に行って釣りをするのが一番好きです。と言っても、結構人は上がってくるんですけどね。今回は誰にも会いませんでしたが。
この川は河原が広いので遡行しやすく渓相も良いですが、大雨の時は荒れることがあるんですよね。
奈良井川源流にも良いところがあるんですね。機会があれば、行ってみたいです。
ヤマトイワナ釣ってみたいです。こちらは数十年前に違法に放流されたらしきニッコウイワナとゴギの混じったようなイワナがいてそれでも嬉しいんですけどね。
Nori1022さん、こんにちは。
Noriさんもなかなか忙しそうですが、自由の身になったらこちらに遊びに来て下さい。その際は奥山に案内します。それまで私の体力が持つのかわかりませんが(笑)
四国は元々はイワナは棲息していなかったんでしたっけ?
数十年前に放流されたイワナはすでに自然繁殖しているんですね。いろんな種類を放流すればもちろんですが、そうでなくてもイワナも結構個体差があって、いろんな色合い、模様の個体が釣れますね。