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雉の羽を使った逆さ毛ばり|雉銅(きじあかがね)

テンカラ毛鉤巻き勉強中
この記事は約8分で読めます。

私の釣りのバイブル『釣りキチ三平』に出てきた毛ばりの4つの釣り方、流し釣り、扇引き、ちょんちょん釣り、ねらい打ち。
それぞれに適した自分の毛ばりを作ろうというプロジェクト。というほど、大袈裟なものではないけど、大々的に銘打った方がやる気になるじゃん(笑)

ねらい打ち(たたき釣り)用の毛ばりは、スギッパ巻き

一本の毛鉤で一日中釣りをする|強化型ニセ・スギッパ巻き
今年はテンカラ釣りに集中した年でした。 テンカラ釣りの面白さや、他の釣り方に対しての優位性がわかってきましたが(逆に弱点も)、フライフィッシングでは狙いにくい強い流れの向こう側や、複雑な流れに囲まれたピンスポットに毛鉤をズバッと打ち込んで魚...

ねらい打ちは、水面を叩くように強い打ち込みを繰り返すので、まず毛ばりの丈夫さが要求されます。二段蓑毛には強度のあるコックネックを使い、胴の体節表現にはユニフレックスという伸縮素材を使っています。そして、全体的に黒っぽい仕上がりなので、初夏以降、陸生昆虫がポトリと川面に落ちるような時期には特に威力を発揮。

流し釣り用の毛ばりは、銀鼠鉤

流れに乗せて泳がせる爆釣毛ばり|銀鼠鉤(ぎんねずばり)
釣りキチ三平に憧れて始めたテンカラ釣り 以前にも少し書いたことがありますが、私がテンカラ釣りをやってみたいと最初に思ったのは漫画『釣りキチ三平』の『毛バリの神サマ』の章を読んだ時です。 毛バリ山人という毛ばり釣り名人のもとを訪れた主人公の三...

流し釣りは虫が川を自然に流れるように毛ばりを流して釣ります。魚が毛ばりをじっくり見ることができるので、偽物と気付かれにくい、というか良く見ても何なのかよくわからず、とりあえずくわえてみたくなるような、曖昧な姿形の毛ばり。水生昆虫の幼虫もしくはサナギ状態を演出。
まだ陸生昆虫が発生していない、早春にも活躍してくれる毛ばり。

上記二つの毛ばりは実釣でも良く釣れているので、これからもメインで使います。

そして、今回は扇引き用の毛ばり。
扇引きとは川岸から対岸方向真横に(またはやや下流へ斜めに)毛ばりを振り込んで、川の流れを横切るように扇形に毛ばりを引いてくる釣り方です。ウェットフライのスイングの釣り、もしくはフラッタリングカディスの釣りに似ているでしょうか。
そもそも私はテンカラ釣りでそんな釣り方はしたことがないんですけども(笑)
流れを横切る時に毛ばりにちょうど良いテンションが掛かるようにラインを張ったり緩めたり、その少しの竿先の動きで生き生きと蓑毛が動くような毛ばり、そう、逆さ鉤こそが向いているような気がするのです。

扇引き用逆さ毛ばり|雉銅(きじあかがね)

雌雉の逆さ蓑毛と胴にはコパーワイヤー

・フック:オーナー 桑原テンカラ5号(ストレートアイ)
・ハックル:雌雉
・ソラックス: HENDSのヘアダビングプラス(No.14)
・ボディー&ヘッド:ユニスレッド#6(ブラック)
・ウェイト:レッドワイヤーNo.1
・リブ:コパーワイヤー
・ヘッドコーティング:ブラックバーニッシュ

 
ハリはオーナーの桑原テンカラ5号。このハリはストレートアイとダウンアイのものがありますが、これはストレートアイ(環の部分が軸に対して真っ直ぐ)のタイプです。
カエシがついているハリですが、今回はカエシを潰してから巻いています。

軸の部分の中央付近にレッドワイヤー#1をアイ側から見て反時計回りに6巻き。
ユニスレッド#6(ブラック)で下巻き。レッドワイヤーに巻き付けるような形で前後を固定。

 
リブ用のコパーワイヤーを固定。
レッドワイヤーからテイル側に向かってテーパーが付くように巻き、ハックルを巻く部分は窪ませて、ヘッドを巻きます。

 
ヘッドをブラックバーニッシュでコーティング。くっつかない程度に乾かします。
雌雉の襟元の羽を一枚抜き出します。雌雉の羽は入手しにくいですが、アマゾンに出店しているHANEYAというショップで購入しました。輸入品なんでしょうね、きっと。

 
ウェッブ(下の方のふさふさした羽毛)をむしり取り、先端を少し残して羽を逆なでてこんな形にします。

 
スレッドで凹みを作った部分に、表面を上にして羽を巻き止めます。
羽をアイ側に撫でつけて、3回転ほど巻き付けます。
※先ほど取り付けたコパーワイヤーが写っていませんが、あるものと思って下さい(この写真の時は後からコパーワイヤー取り付けたので)。

 
余分な羽と軸をカット。
コパーワイヤーは後から取り付けても大丈夫。

 
ソラックス部(ダビング材を巻く部分)を残して、コパーワイヤーを巻きます。
HENDSのヘアダビングプラス(No.14…写真の黄色矢印、焦げ茶色系)を少し取りだし

 
ダビングワックスを塗ったスレッドに縒り付けて巻きます。
最後に、羽とソラックスの間でウィップフィニッシュ。


完成です!

少しだけ渓流で使ってみたら釣れることは釣れました。が、扇引きのような使い方はまだしていません。瀬の釣りになるので、里川のアマゴを狙いたいところですが、今里川は水温高すぎるので標高が高くて尚かつ川幅のある川へ行って本格的に試してみたいと思います。

出来上がった毛ばりを見ていたら、少し改良を加えたくなりました。
そこで、早速改良版を。

胴にフェザントテイル、胸はピーコック

・フック:オーナー 桑原テンカラ5号(ストレートアイ)
・スレッド:ユニスレッド#6(ブラック)
・ハックル:雌雉
・ソラックス: ピーコックハール
・ボディー:フェザントテイル
・リブ:コパーワイヤー
・ヘッドコーティング:ブラックバーニッシュ

 
ハリは同じ桑原テンカラ5号。
バイスにセット。

 
ユニスレッド#6(ブラック)で下巻き。
フェザントテイルを3本切り出します。フェザントテイル残り少なくなってますが。

 
テイルとして巻き止めます。
取り付けたフェザントテイルを上に持ち上げて、手前サイドにコパーワイヤーを巻き止めます。

 
フェザントテイル3本を合わせて巻きます。
ピーコックハールを一本切り出します。

 
ピーコックハールを巻き止め、先ほど巻いたフェザントテイルの終点からソラックス(胸部)を巻きます。ハックルとヘッド部分は残してストップ。ピーコックハールとスレッドを撚り合わせて巻くことで少し強度アップできます。

 
コパーワイヤーでリブを巻きます。ソラックスのピーコック部分まで巻き上げます。
スレッドでヘッドを作り、ブラックバーニッシュでコーティング。
触っても大丈夫なくらいに乾かします。

 
雌雉の襟元の羽を巻くのは上記と同様です。
余分な毛をむしり取ってこんな形にして、蓑毛を巻きます。

 
2回転巻いたらスレッドで固定。スレッドで蓑毛の際を巻いてちゃんと逆さ羽が広がるように整えます。
ピーコックと蓑毛の間に隙間ができてしまったので、ピーコックハールを追加してボリュームアップ。


完成です!

写真だとわかりにくいんですが、胴に巻いたフェザントテイルの質感が虫っぽくていい感じ。銀鼠鉤同様テイル(尻尾)の必要性の有無を考えたくなりますが、泳がせた時に蓑毛と合わせて虫の動きを演出してくれそうなので、このままでしばらく使ってみます。
胸に巻いたピーコックは、やはりシンセティック素材よりもきらめきの感じが良いですね。

この逆さ毛ばりは「雉銅(きじあかがね)」と名付けました。
蓑毛も胴も雉の羽を使っていて、コパーワイヤーのリブがポイントだと思うので、銅の別名「あかがね」を組み合わせました。

雌雉の羽もコックネックに比べると弱いし、フェザントテイル、ピーコックハールとも強度の低い素材なので耐久性の面が少し気になります。何度も水面を叩くような釣り方だと傷みが激しいと思いますが、長い距離を泳がせるような釣り方なら大丈夫かな?
ともかく、実釣テストで確認してみます。

テンカラ毛ばりは沈むスピードが重要?

何度か言及してますが、テンカラ釣りでは私は水面に浮く毛ばりではなく水面下を漂う毛ばりをメインに使うことにしています。水面下の釣りの場合、毛ばりの沈むスピードが重要なんじゃないかと思うんですよね。
良く釣れるスギッパ巻きを基準にして各毛ばりの沈むスピードを確認してみます。


左から、スギッパ巻き、銀鼠鉤、雉銅、羽蟻鉤、毛虫鉤。
羽蟻鉤は胸の部分のゴールドビーズを黒く塗って仕上げてますが、使っているうちに段々剥げて金色になってしまっています。
毛虫鉤も実際に魚を掛けてはいますが、どうやらこの毛ばりはウエイトを外してドライタイプにした方が良さそうな気がします。改良版はまたいずれ。

ともかく、これらにハリスを結んで水に浸けてみます。

 
小魚観察用の透明ボックスに、水深12cmになるように水を張ります。
ここに毛ばりをポトンと落としてみます。

良く釣れる毛ばりには何か理由があるはず

 
スギッパ巻きは二段に巻いた蓑毛のせいか水に馴染むまでかなり浮力があります。
最初はぽっかり浮かんでしまうので毛ばりをよく濡らし、もう一度ポトンと水面に落とすとゆらゆら沈んでいきます。
正解には計れませんが、ちょうど1秒くらいで底に到達。秒速12cm。つまり1m沈むのに8.3秒(8.3s/m)。


蓑毛が二段になっていることで、気泡をまといやすいのもこの毛ばりが良く釣れる理由の一つかもしれません。

 
銀鼠鉤はスギッパ巻きと同じ8.3s/m。
雉銅は、ウエイトが無い分1.5倍くらいスロー、12.5s/m。

 
羽蟻鉤はタングステンビーズの威力抜群で二倍速の4.2s/m。
毛虫鉤はスギッパ巻きと同じ8.3s/m。

 
スギッパ巻きと毛虫鉤は、何度か落としても水面にぶら下がるように張り付くことがあります。
浮いたり沈んだり、時々イレギュラーな動きをするのも釣れる毛ばりの条件かもしれません。

逆さ毛ばりの羽の動きに期待


この5種類の毛ばり、水に沈んだ状態だと逆さ毛ばりの雉銅は羽が開いて抜群の存在感がありますね。
流れに乗せてラインを微妙に引いたり緩めたり、それによって羽が生き生きと動くので魚へのアピールは抜群です。この辺りが逆さ毛ばりの強さなんだと思います。
扇引き用とは言っていますが、もちろん流し釣りでも威力を発揮するでしょう。それと、重いウェイトを乗せれば、深い壺に落とし込んで誘いをかけて岩陰のイワナを引きずり出すような使い方もできそうです。

9月も超多忙であと何回釣りに行けるかわからないけど、今回巻いた雉銅のテストと残り一つの毛ばり試作も頑張りたいです。
渓流シーズン終わったら、のんびり管理釣り場へ行って毛ばりテストをしたいとも思っています。

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魚ココロあれば水ココロあり

コメント

  1. きじあかがね・・・ネーミングまで凝っているあたり、さすがリコプテラさんだなぁ。
    ボクなんて超テキトーで、暗色系逆さ毛ばりとか言って済ませてしまいそう。

    そして沈下速度の比較実験まで。
    このあたりがリコプテラさんの科学者的アプローチらしくて、あぁ「魚ココロあれば水ココロあり」に来たなぁ・・・と再認識します。(笑)

    • kuniさん、こんばんは。
      ネーミングにはなぜかとてもこだわりを持っているのです。
      その割にタイイング自体は結構いい加減なんですけどね(笑)

      沈下速度の比較実験は、また近々もっと精度を高めてもう一度やってみたいです。
      テンカラ毛ばりはフライのように系統立てた整理がされていないので、自分なりに研究し甲斐があるんですよね。

  2. おはようございます。
    いろいろ楽しんでおられますね、私の巻き方で少しでも参考になればと書いてみますね、逆さ毛ばりの場合シャンクが短い方が、格好良く見えます(人間には)レッドワイヤーの代わりにビーズヘッド2、5ミリをヘッドに使うことでで羽の開きが良くなります、開き具合は脇の閉め具合で調節します、長い毛足の羽を巻く場合はヘッドから離れた所に巻いてスレッドでヘッドに向かって押さえ込んで行くことで、ハックル径を小さくすることができます、ハックルを均等に開かせるには使うビーズヘッドより少し大きめのリングを作り、ハックルを巻きおわったらヘッドから差し込みハックルをくぐらせ今度はヘッドに引き上げその状態で脇を締めれば均等に開いたハックルを作ることができます、もしよろしかったら、連絡フォームで住所等お知らせ下されば、お送りいたします、もう私は釣りも出来なくなりますので、参考にしていただければ本望です。

    • kitaさん、こんばんは。
      いろいろ教えていただき、ありがとうございます!
      とても参考になります。
      雌雉の羽はただ巻くだけでも難しく、なかなか均等に羽が開かないんですよね。リングを使う方法、kitaさんのブログで拝見した記憶があります。
      近々、連絡フォームから連絡させていただきますね。

  3. 面白い
    まさに、科学ですね~。
    真のメカニズムは神のみぞ知るにしても、拘りや使いこなしに繋がります。
    何より、楽しくてエエですな。

    • マンボウさん、こんばんは。
      魚の気持ちは魚にしかわかりませんが、あーでもないこーでもないと推理、考察するのは好きなんですよね。
      毛ばりに関しては、まだまだ試してみたいことがたくさんあるので、楽しみが尽きません(笑)
      魚釣りって本当におもしろい趣味ですよね。

  4. こんにちは
    作るだけでなく、沈下速度や水中での様子まで確認するとは。ずくがありますね。
    巻いているときの詳細な写真、本当に参考になります。
    銀鼠鉤は真似して作り、釣果もありました。この雉銅、早速作ってみます。で、今週末使ってみます。

    • はるさん、こんばんは。
      私、ズクだけはあるんですよね。「ずく」をご存じとは、はるさんは元々こちらのご出身でしたっけ?
      普通の人がめんどくさがってやらないことでも、興味が湧くとやり始めてしまいます。無駄な努力になる場合も多いですが、そうやって培った知識や技術はいろんな場面で生かせると思っています。
      この雉銅は、まだ未完成ですが、長い距離を流しながら誘いをかける使い方をしてみて下さい。良い釣りできますように。