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網を使わないでざざ虫はどのくらい捕れるのか

ざざ虫
この記事は約6分で読めます。

石をひっくり返して一匹ずつざざ虫を捕る。

全くダメだった今シーズンのざざ虫漁

この冬もざざ虫漁を開始して、今シーズンは全然ダメだということは12月に書きました。

その後もいくつかのポイントで何度か川に入ってガサガサやってはみたんですが、今年は本当にダメです。ダメな理由は二つあって、

  1. 2024年10月上旬の大水で虫が流されてしまった
  2. 10月の大水以降はほとんど雨が降らず、川底に藻が繁殖してしまっている

1については、単純に石の隙間に巣を作っていた虫が大水で流されてしまったということですが、2については、虫の有無というよりは漁の障害になるということなんですよね。
何度か紹介していますが、ざざ虫漁は川底の石を足でガサガサやって目の細かい四つ手網で捕獲するので、川藻が多いと網の目が詰まってしまって漁にならないんですよね。
今年に限っては、ざざ虫漁に適したチャラ瀬は大水で綺麗に流されてしまって虫がほとんどいない状態、なんとか流されずに少しは虫がいそうな瀬には藻が繁殖して漁にならない状態、のどちらか。

これはダメですね。
で、ちょっと考えてみました。

ざざ虫が効率的にとれる場所はチャラ瀬、ざざ虫の「ざざ」とはチャラ瀬を意味しているので、漁として捕るならチャラ瀬。チャラ瀬とは、水面から小石の頭が出るか出ないかくらいの浅い瀬のこと。
が、しかし、釣り餌としてざざ虫(クロカワ虫:ヒゲナガカワトビケラ)を捕ったことのある人なら、チャラ瀬などでなくもっと大きい石(人間の頭大くらい)が点在するような場所で、石をひっくり返せば簡単に捕れるのをご存じでしょう。もちろん、そんなに大量に捕る必要は無く、20匹程度だと思いますが。

瀬の虫が流されてしまったとしても、そういう場所ならざざ虫結構いるんじゃないの?
仮にざざ虫がいても、石をひっくり返して一匹ずつ手やピンセットで捕ることになるから、漁と言えるほどは捕れないよね? どうだろ? やってみよう!

ざざ虫は川のどこにいる?


四つ手網を使ってざざ虫を効率的に捕れるのはこんなチャラ瀬。
藻が全く生えていない新しい石(水に流され綺麗になった石)の瀬には虫はいなくて、この写真のよにある程度藻が生えている方が良いのですが…

苔と藻の違い
清流のアユが食べるような川底に生えている藻のことをよく水苔(または垢)というような言い方をしますが、正確には藻です。
苔は基本的に陸上の植物です(一部例外あり)。
藻は、陸上植物以外で光合成をする生物の総称です。藻(藻類)には、クロレラのような顕微鏡で見るような極小のものから昆布やワカメなどの海藻も含まれ、かなり広いジャンルの生物が含まれます。
そして、近年の生物学では苔は植物だが「藻類は植物ではない」とされています。
ともかく、アユ釣り師が「水苔」と呼んでいるものは、苔ではなく藻です。

通常はこんな自作の四つ手網を使ってざざ虫を捕るのですが、


こんなに藻が伸びているとすぐに網の目が詰まってしまって漁になりません。
それに加えて、この場所もちょっと調査してみましたが、そもそも虫が瀬の中にはあまりいません。

一匹ずつざざ虫を捕るという地道作戦

そこで四つ手網漁は不可能な、中州際の浅場に着目。


頭を出した大きな石が点在してますね。
こういう場所なら虫が流されずに残っている可能性が高いです。

 
装備はブーツウェーダー、それから厚手のゴム手袋とザル。捕った虫を計量するための計り。
いつもなら鉄製のカンジキを履いて川底をガサガサやるんですが、今日はその必要はなく、身軽でいいね。

 
あ、それからピンセットね。ざざ虫は意外と動きが速くてぬるっとしてるので、手袋をした手だとなかなか掴めないんですよ。ピンセットならさっと掴めます。
さて、水面から頭を出した手頃な石をひっくり返してみます。


ざざ虫は自分の体から粘液を出して小石をたくさんくっ付けて巣を作りその中に潜んでいます。石をひっくり返しただけで小石が剥がれ落ち、姿が見えるざざ虫もいます(黄色矢印)。
くっ付いた石を剥がせばその中にもざざ虫がいます。


これを一匹ずつピンセットで掴んで水に浸けたザルに入れていく、という超地道な作業。
まぁ私は地道な作業は得意ですけども(笑)

思ったよりたくさん捕れるざざ虫…でも一匹ずつですから

あ、ちなみに四つ手網を使ってざざ虫を捕る場合は漁協の許可が必要ですが、こうやって石をひっくり返して地道に捕るぶんには許可はなく誰でも捕れますよ。

 
この日は暖かかったので、途中からは手袋を外して素手で作業。
睨んだ通り、この場所には虫がたくさんいます。石を一つひっくり返せば多いと10匹くらい捕れます。


四つ手網漁に比べると、圧倒的に効率悪いですが、良い点もあります。
四つ手網漁だと、当然虫だけでなく砂利や藻やゴミ(木の葉クズや木くずなど)、ターゲットでない虫やヨシノボリなんかも網に入ってしまうので、それを選別する作業が必要になります。これが結構大変。
一方、この地道作戦では、ざざ虫を一匹ずつ捕っているので選別作業は要りません。ざざ虫もサイズを選り好みして捕ることも可能なんですよね。

 
それにしても、こんなにたくさんの小石をくっ付けてしまう、ざざ虫の能力って凄いですよね。
かなり力を入れないと外れないくらいがっちりくっ付いているんですよ。
そもそも、どうやって小石を(中にはかなり大きい石も)くっ付けてるの?
この写真はひっくりかえしているけど、実際は大石の下に小石がくっ付いている状態。
大石の下に潜り込んだざざ虫が粘液を放出して、石の隙間に元々あった小石をくっ付けたってことなのかなぁ。それに加えて、隙間に流れ込む砂も巻き込んでがっちり固まるということか。そういうことだね、きっと。まさか虫が石を運んでくるわけではないだろうし。

 
一匹は1gにも満たないざざ虫。今回は、1時間でどのくらい捕れるかテストしてみました。
写真2枚目は、1時間で石をひっくり返した範囲です。と言っても、水面から頭を出している石のみをひっくり返しただけですが。水面に完全に没している石は藻が覆ってしまっていて、虫もあまりいません。

1時間で440匹、果たして重さは!?

 
今回は数をカウントしながら1時間捕りました。捕れた数は440匹。
さて、重量は!?


ちょうど350gを指しています。
ザルの重さ170gを差し引くと、正味180g!
これが、多いか少ないかというと、当然少ないです(笑)
440匹で180gということは、1匹当たり約0.4g!

1時間で180gということは、あと30分がんばれば270gになるってことか。そのくらいの量になれば、なんとか佃煮を作ることはできるね。もし、ご家庭でざざ虫を食べてみたいという人はやってみて下さい。まぁやる人いないとは思いますが(笑)

この結果は漁として成り立つ数値なのか?

で、この地道作戦がざざ虫漁として成り立つかというと…
1時間で180gということは、6時間やれば1,040g。つまり、6時間がんばれば1kgにはなるということです。ギリギリ、漁として成立する数値です。
が、しかし、一つ問題が。四つ手網漁は仮に6時間川に入っていても(そんなに川に入っているのは私くらいのものですが)さほど疲れませんが、この地道作戦はしゃがんだ状態でチマチマと細かい作業をしなければならず、これを6時間続けるのは相当にしんどい。ものすごーくがんばって、1日はやったとしても足腰の疲労度が半端なく2日目は無理でしょう。

結論

地道作戦は、ざざ虫不漁の年でもある程度捕ることはできる。
家庭消費分を捕るには最適な方法でもある(需要があるかどうかは別にして)。
しかし、足腰にかなり負担がかかる作業となるため、漁としては成り立たない。

さて、もう春の足音が聞こえてきたことだし、これからじゃんじゃん釣りに行きますよー。
今年は本業の毛ばり釣りだけでなく、釣りを始めた中学生の頃のようにクロカワ虫(ざざ虫)を使ったウグイ釣りなんかも楽しんでみたいです。
おそらく渓流釣り(特にルアーやフライ)をやっている人は、ウグイなんか見向きもしないと思いますが、私は釣りを始めた頃のあのワクワク感、最初にウグイを釣り上げた時の感動を未だに忘れられません。だから、時々そんな釣りをして初心に帰ってみたいのです。

 

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コメント

  1. こんにちは。
    藻、中央アルプスの川に行ったら毛足の長いのがすごく生えていて。
    例年こんなに生えているものなのでしょうか。
    しかし、天竜川に入っている人が近年は本当にいないです。

    ウグイ釣りですか、懐かしいですね。ウグイも減ったんでしょうね。

    • はるさん、こんばんは。
      中央アルプス側、どのくらい奥かにもよりますが、本来は藻の少ない花崗岩質の渓相です。
      今年は本当に水が少なくて、全般的には一雨降らないと川の状況は良くないですね。

      天竜川の川底を掘り返す工事を毎年しているので、だんだんウグイも棲みにくくなってきていると思います。
      ウグイはまだしも、オイカワは本当に減ってしまいました。

  2. おはようございます
    川虫捕り、1時間で440匹とは凄いですね。

    これって、釣餌としてなら最終売価で8,000円程。
    最終小売りの利益率60%として、3,200円程の卸値。
    悪くはないですが、流通経路を作るのに、いくらかかるのか。
    超生モノだけに、通販は厳しそうだし、難しいですね。

    それにしても、1時間440匹は凄い。

    • マンボウさん、こんばんは。
      天竜川の上流部ほどクロカワ虫がたくさん棲息している川は日本中探しても他にはないんじゃないでしょうか。今年は浅瀬の中には虫がいませんが、中州のゴロタにはたくさん虫がいました。

      クロカワ虫は意外とデリケートで捕獲後なかなか生かし続けられないのと、死んでしまうとダラーとしてしまって商品としては売れない状態になってしまうのが問題です。
      カワゲラだと死んでも真空パックで売れるんですけどね。商売としては難しそうです(笑)

  3. おはようございます。
    私も若い頃はウグイも釣りましたね、こちらではアカウオと言いますが、7月ころになると婚姻色で気味が悪いほどになります、そのウグイですが奈良井川は居なくなってしまっています、やはり上流のダムの影響は10年単位で現れてきますね、それとカジカですが、清流に棲むと言われるカジカですが、私の生まれた谷の小曽部川は昔は沢山カジカがいましたが、近年は全く見られません、私の思うに化学物質の含まない家庭用雑排水はむしろ水生昆虫の餌になりそれなりに良かったのではないかという事です、きれいだけの川では魚も育たないですね。

    • kitaさん、こんばんは。
      こちらでも年配の方はアカウオと呼んでいて、昔はよく食べたそうですが、今は釣る人もいないし食べる人はほぼ皆無だと思います。
      カジカは私が子どもの頃はまだ実家の近くの沢にたくさんいましたが、今はどうなんでしょう。今年調査してみたいです。

      確かに、昔は化学物質がほとんど含まれない生活排水が川に流されていて、水生昆虫にとっては良い栄養分になっていたんでしょうね。
      天竜川のざざ虫が昔は今よりもたくさん捕れたのも、おそらく生活排水が諏訪湖、天竜川に流れ込んでいたためだと思われます。

  4. これだけの量のざざ虫を手作業で、獲っちゃおうと言うのは考えもしない行動。(笑)(いや四つ手網で獲るのもれっきとした手作業ですが)
    読んでいるだけで、腰が痛くなりそう。^^;