フライフィッシングの世界に島崎憲司郎さんという人がいる。
ドライフライフィッシングをやっている人なら誰でも知っている、ドライシェイクを開発した人。その他フライフックやらマテリアルにいたるまでいろんなものを開発していて、私もドライシェイクをはじめリーダースプライサーなどいくつか愛用しているものがあります。“シマザキ”の名を冠した製品はちょっと高いけど(^_^;)
CDCの有効な使用法の考案者としても有名で、水生昆虫に対する豊富な知識と独創的なアイデアで斬新なフライもいろいろ考案してますね。
そんな島崎さんが2010年頃に考案して、巻くのが簡単で釣れるフライだと評判になったのがクロスオーストリッチ。
その頃、私はフライフィッシングをやっていなかったので(管釣りで遊び程度にはやったことがあったけど)、その存在を知ったのはつい最近。このフライについての今現在の評価は知らないけど、とりあえず巻いてみよう。
クロスオーストリッチ|フライタイイング
- フック:TMC108SP-BL #14、16
- コパーワイヤー:UNI ソフトワイヤー#33 S
- ボディー:オーストリッチハール(オリーブ、タン)
- UVシーラー(なくても良い)
このフライは、タイイングや釣りのやり過ぎで手荒れをこじらせてしまった島崎さんが、なるべく手先に負担がかからないようにと考案したものらしい。
材料が少なくていいな(笑)スレッドすら必要ない。
ちょっとぶさいくなヘッド部をしっかり固めるならUVシーラー(紫外線で固まるやつ)が必要。これは、百均SERIAで売っているUVレジンで代用します。
切れやすいワイヤー専用にボビンホルダーを加工。
スレッドの代わりにコパーワイヤーで巻いていくので、ボビンホルダーを使って巻けるようにします。普段使っていないボビンホルダーをワイヤー専用にすることにします。
そのまま使うとワイヤーが切れやすいので、熱収縮チューブを先端に装着します。
今回使ったのはSASAMEの熱収縮パイプ1.5号。チューブの内径は2.1mmです。
(楽天で見る・アマゾンで見る)
熱収縮チューブを先端に差し込んで先から1cmくらい出してカット。
ドライヤーの熱でボビンホルダーの先端より細くなるまで収縮させて固定。
熱をかけ過ぎると、ワイヤーが通らなくなっちゃうので注意。
チューブの先端を6〜7mmくらい残してカットしたら完成。
写真2枚目はコパーワイヤーのボビンをセットした状態。これなら使いやすそう。
新たに材料を仕入れる。
オーストリッチ(ダチョウ)の羽って今まで使ったことなかったんですが、ボディー材としてはおもしろいかもしれない。
フックはTMC108SP-BLの#14と#16。
オーストリッチハール(オリーブとタン)が届いて見ると、フリュー(繊毛)がふわふわ長くて柔らかいんだな。もっと張りがあるんだと思ってた。
クロスオーストリッチって見た目がグリフィスナットみたいだから、ドライフライかと思ってたけど、あぁ、これウェットフライなのね(苦笑)
まぁ、ワイヤーをグルグルたくさん巻くわけだからドライなわけないか。
スレッドの代わりにワイヤーで巻いていく。
TMC108SP-BL、アイの下でくの字に曲がった独特のフック形状。
コパーワイヤーでアイの部分から少し下巻き。収縮チューブのおかげでワイヤーがスムーズに巻けます。
スムーズに巻けるけどスレッド代わりに使うならもっと細いものの方がいいかも。
このワイヤーの太さはどのくらいなんだろう。ノギスで測ってみよう。
デジタルノギス(楽天で見る・アマゾンで見る)で測ってみます。
太さ0.18mm。このワイヤーは柔らかいので巻きやすいけど、ドライフライにも使えるようなもっと細いものも用意しておいた方がいいかな。
ノギスってすごいですよね。百分の一ミリまで測れちゃうんだもん。
ボビンホルダーを使って巻いていくと、スレッド同様に撚りがかかって切れやすくなるので、時計反対周り(黄色矢印)に時々回しながら巻くと良いです。
写真2枚目の辺りまで下巻き。
クロスオーストリッチはオリーブ色が定番らしい。
ハールを1本切り出し、裏面(ストークが出っ張っている側)を上向きにしてワイヤーでボディー後端まで巻き込みます。
ハールの裏側が常に後ろ(ベンド側)を向くようにして、リビングするような間隔で巻きます。
アイ手前のくの字になっている部分まで巻いたら折り返して、今度はきっちりと密に巻きます。最後まで裏側がベンド方向を向くように注意しながら巻きます。シャンクの直線部分で終わらずにベンドの曲がり始め辺りまで巻いて、ワイヤー3、4巻きで固定。余ったハールはカット。
ワイヤーでリビングします。なるべくハールを潰さないように。
先ほどハールを折り返してアイ側から巻いたので、これで、ハールとワイヤーがクロスする形になります。
クロスして巻くと強度アップになりますね。
ヘッドをワイヤーで成形して、ハーフヒッチ2、3回で巻き留めたら完成。
このままでもいいけど、UV硬化剤でヘッドを固めることにします。
百均のUV硬化剤が結構使える。
アクセサリー作りに使われるUVレジン(クリア)。百鈞のSeriaに売ってます。ダイソーにもおなじような商品があるけど、こっちの方が変色せずに透明度が高いらしい。
これをニードルでヘッド部に塗ります。
こんな感じのUVライト(楽天で見る・アマゾンで見る)を当てて硬化させます
できましたー!
これは本当に簡単にできていいな。フックサイズに対してちょっと毛足が長い?
いや、水中でふわふわするからこのくらいでいいのかな。
ヘッドを固めるのはUVレジンじゃなくてヘッドセメントでも良いような気も。
アクセサリー作りに使われるくらいだから、厚めに塗り重ねる場合はこちらの方が良いのかな。
水に入れてみると、長いフリューのせいで最初はぺたっと水面に浮かんじゃう。
沈めてみると、フリューがふわふわゆらめいていい感じ。
これは本当によく釣れるフライなのか。
オリーブよりもこちらのタンの方が釣れそうな気がするけど、どうだろ。
とりあえず管釣りででも試してみるか。
巻くのが簡単なので、#14と#16をある程度量産。ヘッドにソフトハックルを巻いたり、いろんな派生があるようなので、今後色々試してみたいと思います。
このフライ、魚には何に見えるんだろう。
乾いている状態だと毛虫フライのようだけど、水中でふわふわとゆらめく毛足の感じは毛虫とはだいぶ違うんだよね。
ふわふわ揺らめく柔らかな羽と、コパーワイヤーのきらきらした組み合わせがなんとも生き物っぽい感じはする。
その川に存在している虫に該当するものがないフライでも良く釣れることがあるから、何に見えるかよりも釣れるか釣れないかが重要だけどね(^_^)
★後日追記:
実際にフィッシュオン 鹿留で使ってみました。
ヘアズイヤーニンフ、グレーニンフに比べると魚の反応自体はやや劣りましたが、大きいのがが連発しました。大物キラーなのかもしれません。
2017年は自然渓流で使ってみますので、また報告します。
コメント
こんばんは。
コパーワイヤーは私もウエイトと体節を兼ねたらどうだろうと買ってみましたがうまくいかずに断念しましたが、うまく利用しましたね、ダチョウの羽ですか柔らかいのに水中ではきれいに開きますね、昔、家具店でほこりを払う羽のハタキがあって古いのをもらって来て巻いたのを思い出します。
ひとつ教えてください、TG-4のカメラのキャップですが、たちまち無くしてしまい仕方ないのでコンバーターアダプター+プロテクトレンズを使っていますが、出が1cmにもなってポケットに入れるのに苦労していますが、スライド式のプロテクトキャップをお使いとの事、この場合出は少なくて済むでしょうか。
ハックルさん、こんばんは。
ダチョウの羽は水中でふわふわと揺らめいてイイ感じです。
家具店のハタキですか。結構身近なところに良さそうな羽がみつかるかもしれませんね(^_^)
私もコーバーターアダプター+プロテクトレンズにしたのですが、あの出っ張りが邪魔なのと、水中撮影をした後にプロテクトレンズ内側が曇ってしまうので、スライド式のキャップにした次第です。
本体のプロテクトリングを外して取り付けるので、出っ張りはほとんど気になりません。ポケットからの出し入れは実にスムーズです。
このキャップはとても重宝していますが、価格がちょっと高いのが欠点ですね。
それと、今のところ大丈夫ですが、耐久性にもやや不安があります。最初きつめだったロック部分が1年半使って緩くなってきた気がするので、そろそろ壊れそうな気がしないでもないです(^_^;)
使い勝手の面では最高のレンズキャップだと思います。
これ管釣りでハマルと爆釣しますよ。^^
ただ、タイミングによってはビックリするくらい無視される。
ま、どんなフライでも同様なことはあるのでしょうけどね。
ボクはオーストリッチは、最近サーモンフライでしか使っていないですね。
kuniさん、こんばんは。
私も「このフライは当たり外れが激しそうだな」と思っていましたが、やはりそうでしたか(笑)
いろんなアレンジパターンもあるようなので、ともかく一度試釣して試行錯誤を楽しみたいと思います。
オーストリッチはサーモンフライにも使うんですね。サーモンフライのマテリアルは実に多彩で奥の深い世界ですねー(^_^)
綺麗なフライで管釣りでも釣れそうですね
真似してみます。
ボビンホルダーは私もSUS材の細い棒材が有り2個作って
ます幾つ有ってもよいので其の内にと考えてます。
釣りお爺さん、こんばんは。
このフライは少ない材料で簡単に巻けるので、ぜひ試してみて下さい。
私もまだ試せていませんが、管釣りではかなり実績があるようです。定番のオリーブカラーが良いみたいですね。
ボビンホルダーはたくさんあれば、一々ボビンを付け替えなくて良いですよね。私も折を見て自作に挑戦したいと思います。
おはようございます。
乾いているときは、キャタピラーワームそっくりに見えましたが、水中では不思議な存在ですね。
『美味しそうな何か』に見えるのは間違いないのでしょうね。
七流釣師さん、こんばんは。
張りのある毛先ならまさに毛虫っていう感じですが、ダチョウの羽は意外と柔らかくて、水中だとふわふわするんですよね。このふわふわが魚たちを惹きつけるのかも知れませんね。と言っても、今のところコレで釣っていないんですけどね(笑)
とりあえずは、管理釣り場の魚を相手に試してみます。
「美味しそう」だと思って食いついてくれると良いのですが。
コパーワイヤーで巻いててもそれほど沈まないものなのですね。
水中だと柔らかい分ふんわりと揺らぐようで試してみたい一本ですね。
毛虫毛鉤は自分も好きなのですがこの動きとはまた違うので面白そうですね。
オーストリッチを持ってないので入手するか近いもので一度試すか・・・(^^)
幻の渓流師さん、こんばんは。
そうなんですよ、糸の代わりにグルグル巻いてあるのに、一投目は間違いなく浮きますね(笑)長いダチョウの羽が空気をはらんでいるからだと思います。
一旦、全体が水になじんでしまえば、しっかりと沈みますけどね。
空中ではいわゆる毛虫毛鉤のように見えますが、水に入ると毛先が揺らめいて全く異質なものに見えそうです。
ハックルさんはハタキと書かれてましたが、他にも身近なところに毛鉤の材料があるのかもしれませんねー。
フライ作る人はこだわりがあって自作フライでしか釣らないとか色々ありそうですが
kuniさんの作ったフライばっかり使用する私めが来ましたよ。
まわりにフライする人がいないので何もかも自己流でワケわかっていない私め。
最初ドライフライ言う割にはすぐに沈むやないか!とキレてました。
ドライシェイクみたいなものがあるとは知らなかった。
Nori1022さん、こんばんは。
kuniさんの巻いたフライなら間違いないです。でもフライが完璧なだけに、あとは自分の腕次第というプレッシャーがかかりそうですが。
私も自己流なので、誰でも知ってるようなこと知らなかったり(^_^;)
ドライフライ確かに沈み過ぎ(笑)ドライシェイクは偉大ですな。
フライ始めた頃は「こんな見え見えの太いラインを水面に浮かべてホントに魚釣れるの?」などと疑っていた私(笑)